監修いただいた先生
指導報告書を提出したあと、保護者から返信、または電話で問い合わせがあることがあります。その内容は、大抵、不安や不満だと思います。
- このままで大丈夫でしょうか。
- いつになったら成績が上がるのでしょうか。
- 授業でちゃんと理解しているのでしょうか。
だからこそ、保護者の返信には、丁寧に対応する必要があります。ここで少しでも保護者の不安を増長させてしまったり、返信が遅れることで不信感を抱かれてしまうことのないようにしましょう。逆に言えば、この場合の対応によっては、塾の信頼をあげることにもなります。今回は、指導報告書に対する保護者からの返信への答え方を解説します。
<これまでの記事>
生徒別指導報告書の書き方/Case2 勉強に苦戦している生徒編
生徒別指導報告書の書き方/Case3 理解が早くお利口な生徒編
生徒別指導報告書の書き方/Case5 ケアレスミスの多い生徒編
指導報告書の書き方 ケース6:保護者からの返信への正しい対応法
指導報告書作成の3つのルールを意識しながら、実際に指導報告書を書いていきましょう。今回のケースは指導報告書の内容というよりは、それに対する保護者への対応についてです。
指導報告書に返信があるということは、指導の内容、またはその結果に対して意見があるということです。前者については、指導方法に対して意見があるというよりは、教材や取り組む学習内容に意見があることの方が多いかもしれません。これに関しては、事前にどんな教材を用いるのか、その理由をしっかり共有しておくことである程度防ぐことができます。
問題は後者の、指導に対する結果に不安がある、納得がいかないという場合です。「指導内容はわかるが、成績に結びついていない」というご意見ですね。これについて詳しく解説していきます。
まずは生徒に応じた指導内容について、正しく理解してもらえているのかを確認してみましょう。例えば、
- 次の模試の難易度は高いことは想定内、今はとにかく基礎固めをしたい
- この指導は学校の定期テスト対策であり、全国模試の結果に必ずしも結びつくものではない
- 苦手分野の克服を重点に置いている
- テストの正答率が低い**の分野に関しては来週の指導内容に計画されている
このように、成績に結びついていない=数字に表れないという不満に対しては、指導計画を示したり、その生徒の現在の学習状況や苦手分野、誤答しやすい傾向などを丁寧に説明することで、ある程度納得してもらえるはずです。計画通りに学習が進められた場合、いつごろ成績に変化が表れるのかの見込みを示しておくことも効果的です。
また、テストの問題と答案用紙を手に入れることができるようなら、どこでどのような間違いをしたのか、保護者と一緒に話ができればいいと思います。「確かに、この分野は苦手ですね、少し指導時間を増やしてもいいかもしれません」「いつもはできるのに、何があったのか生徒に聞いてみますね」など、塾のスタンスも感じてもらうことができます。
このことに多少時間をかけたとしても、保護者の信頼獲得のためには大切なリソースです。
また、成績に直接関係はありませんが、おそらく、家庭内でも「塾に行っているのにどうしてこんな点数なの?」「塾にお金を払う意味がないんじゃない?」など、あまり良くない会話がされているかもしれません。
成績を上げるのは一朝一夕にはいきません。それでもちゃんと塾に通って授業を受けているということ、親が見えないところで子どもはがんばっているのだということを、塾から一言伝えられるといいなと思います。
以下がComiruでの指導報告書のイメージです。
Fさん:模試の結果が悪く、塾からの指導報告に保護者から返信が入った
授業中の様子や学習状況
- 授業ではまじめに課題に取り組んでいる。
- スローペースながらコツコツ努力するタイプ。
- 苦手分野は避けたがる。
- ケアレスミスが多い。
指導報告書作成のポイント
- 保護者の不安の原因になった模試に一緒に目を通す(目を通さない限り、勝手な考察はしない)
- 普段の学習の様子にも触れながら、結果に対する考察を行う。
- 今後の指導内容を共有する。
Fさんの指導報告書の文例