指導報告書は、生徒への学習指導ややりとりを記録するものです。つまり、塾と生徒・保護者をつなぐ、重要なコミュニケーション手段。指導報告書をしっかり書くことは、生徒のためでもあり、保護者に安心感を持ってもらうためでもあり、塾の安定的な運営のためでもあります。 今回は、Comiruアドバイザー・新田先生にお伺いした、新田式、指導報告書作成の3つのルールをご紹介します。
監修いただいた先生
指導報告書とは?
まず、指導報告書は誰の、何のためのものなのか、という大前提から。ちなみに今回は保護者向け指導報告書について言及します。
また、指導報告書に求められることは、補習塾なのか進学塾なのかによっても少し変わってきます。
進学塾では集団授業を行うことが多いため、その日どんな授業をしたのか、指導内容まで事細かに知りたいという保護者が多いでしょう。つまり、進学塾の指導報告書では「保護者自身が学習内容を理解すること」「保護者にも学びがあるような内容」「教え方の工夫」などが好まれます。
一方で、補習塾の指導報告書は、生徒の様子を伝えることが主な目的です。子どもはちゃんと勉強しているのだろうか、しっかり理解できたのだろうか、先生とのコミュニケーションは取れているのだろうか、保護者のニーズはここにあります。ですから、「集中してがんばりました」ではなく、「この問題で迷っていたようです」「こんな質問が出ました」などのように、すぐそばで見て感じたことを報告します。
いずれの場合も、指導や解説が丁寧であることが確認できれば、この塾に通わせてよかった、という気持ちになります。
指導報告書作成の3つのルール
では、具体的にどんな書き方をすればよいのか、実際に新田先生がComiruを活用して作成した指導報告書のイメージとともに3つのルールをご紹介します
ルール1:「今日のハイライト」を書く
指導内容には、授業で扱った教科の単元名まで書きましょう。これは事前に記入しておくと効率的です。また、特に難しい単元を扱った場合は「ここは難しいですよ」「みんな苦労するところですよ」のような注意を促すメッセージがあれば親切です。
- 「英語」ではなく「三人称単数」など具体的に書く!
- 教え方の工夫、どうやって指導したかを書く!
ルール2:生徒の反応を書く
保護者が一番知りたいことは、授業中の生徒の様子です。理解度に加えて、授業中の態度や気になったことを報告しましょう。「よくがんばりました」だけでは何も伝わりません。「理解するまで時間がかかりましたが問題演習をたくさんやったことで納得したようでした」「今日は部活で疲れていたようでした」など、具体的なやりとりが分かる内容にしましょう。
- 生徒の様子を伝えます。ただし、家で保護者に叱られることのないように・・・
- どこが難しかった、何につまづいた、という情報も参考になる!
ルール3:塾としての方針を書く
実は意外と書き忘れがちなのが、塾の方針、塾が主語のメッセージです。生徒の理解力や読解力が足りない場合、塾としてはどう指導するのか、生徒にどうなって欲しいのか、具体的な提案を盛り込みましょう。それにより、生徒が家で叱られることも防ぐことはもちろん、「この塾にこのまま任せていれば大丈夫」という信頼感を獲得することができます。
- 今後の指導方針、目標、生徒にどうなってほしいかなどを書く!
指導報告書の作成は、時間が経って記憶が薄れる前に、早めに書くようにしましょう。季節講習など、似たような単元を複数の生徒に指導することもあります。授業が終わったらすぐ、または生徒が演習を行なっている間などに書く習慣ができると良いでしょう。
また、指導報告書は長ければいいというものでもありません。長いと丁寧というよりは、冗長な印象を与えてしまい、逆効果になることも。3つのルールを意識して、端的に書くようにしましょう。
指導報告書を送ったからといって、生徒の成績がすぐに上がるものではありません。しかしながら、その内容は、保護者の塾に対する期待や信頼に大きく影響します。指導報告書を実際に作成する講師にも、ぜひ3つのルールを意識するように声がけしてみてください。
まとめ:指導報告書作成の3つのルールとは
1) 今日のハイライトを書く「今日は英語の三人称単数を学習しました」
2) 生徒の反応を書く「苦手そうでしたが、ルールを見つけてからはスムーズに演習が行えました」
3) 塾としての方針を書く「アウトプットを繰り返し理解が定着するまでフォローします」