
理想の教育を目指し、塾・スクールの開業を果たしても、経営者として直面する問題や悩みは想像以上に多いものです。予想以上にうまくいく場合もあれば、想定以上に苦しい状態になる場合もあるのが経営というもの。教務と経営は全く別物なのです。
どんな課題があるか、それを以下にうまく対応し、または回避できるかが、塾・スクールを軌道に乗せる重要なポイントです。今回は、塾・スクールの新米経営者が直面しがちな悩みを5つご紹介します。
事前に起こりうる問題を把握し、適切な対処をし、経営を軌道に乗せましょう。
塾・スクール経営者の悩み①とにかく孤独!開業後の最初の壁
独立開業で一番変わるのが周囲の人間関係です。経営者は、あらゆる意思決定を1人で決めなければなりません。そのため、強い精神力や物事の考え方が必要になります。また、仲間を作るためにフィールドを広げるのも大切です。
経営者はだれでも孤独
塾・スクールの経営者は、しばしば孤独に直面することを忘れてはなりません。勤務していた頃のように、周囲に理解者が常にいる状況とは大きく異なります。信頼できる上司や部下、外部の関係者とのつながりも、一から築く必要があります。
この孤独に耐え、それを受け入れる強靭なメンタリティが求められます。孤独を避けるのではなく、それを一つの現実として受け入れ、自分を支える力に変えることが大切です。ネガティブに捉えるのではなく、ビジネスや個人の成長に集中し、信頼できる人々とのつながりを築いていくことで、孤独を乗り越えることができます。
同じ目標や価値観を共有する仲間との関係は、ただの心のよりどころではなく、相互に高め合う存在として価値があります。同業他業種を問わず、他の経営者も同様に孤独と向き合っていることを忘れずに、より広い視野での人間関係の構築を心掛けてください。塾・スクールの経営者向けのイベント、教材・学校研究のための企業や学校訪問、通塾圏内の地域のイベントなど、時間が許す限り積極的に参加しましょう。
同業種・他業種問わず仲間を作ろう
経営者として成功するためには、自分の業界にとどまらず、他業界の人々と積極的に繋がることが重要です。広範な人脈は、経営者にとって非常に大きな力となります。閉鎖的な学習塾の業界にいるからこそ、外部との接触を増やすことは非常に価値があります。外部からの新しいアイデアを取り入れてカスタマイズすることで、他の塾との差別化を図ることができます。
例えば、商工会議所や青年会議所には、業種を問わず、地域の中小企業の経営者が集まります。地域密着の経営者ネットワークを築くには最適です。経営勉強会や交流イベント、講演会などチェックしておくとよいでしょう。
経営者コミュニティやオンラインサロンも活用できます。SNSを通じて、全国の経営者と交流ができます。
Comiruでは、Comiruを活用した塾・スクール経営の改善事例やノウハウをユーザー同士でシェアできるFacebookグループ『ComiruLab ~コミラボ~』(承認制)を運営しています。
参考記事:新米教室長のお悩み相談室「集客プレッシャー」と「孤独」を解消するには?
塾・スクール経営者の悩み②集客がうまくいかない
集客は塾・スクール経営における大きな挑戦の一つです。時には思い通りに生徒が集まらないこともありますが、そういった困難を事前に回避するためには、以下の3つのポイントが重要です。
(1)他塾との差別化を図ること
自塾を他塾と明確に区別することで、潜在的な生徒や保護者に魅力を伝えることができます。
(2)コンセプトを明確にすること
塾の教育理念や特色をはっきりさせることで、ターゲットとなる生徒や保護者に対して、どのような価値を提供するかを伝えやすくなります。
(3)集客への注力
効果的なマーケティング戦略やプロモーション活動を通じて、塾の認知度を高め、新しい生徒を獲得する努力が必要です。
これらの要素を開業前にしっかりと検討し、策定することで、集客の成功率を高めることが可能です。
差別化できないと見向きもされない
新設された小規模の塾・スクールでは、他の塾と一線を画す差別化戦略が極めて重要です。既存の塾や従来の教育スタイルに倣っただけでは、競争の中で生き残るのは難しいでしょう。
現代では、塾・スクールに対する顧客のニーズは非常に多岐にわたっています。どのようなニーズに応えるかを明確にし、他の塾が提供しない独自の価値を提供することが、小規模塾の生き残りには不可欠です。独自の教育理念やコンセプトを基に、他塾とは異なる独特のアプローチを展開しましょう。
明確にターゲットとする顧客層を定め、効果的に集客活動を行うことが肝要です。
生徒数が増え始めたら、良い評判を生み出し、それを新しい潜在顧客の獲得につなげてください。
参考記事:大手塾経営経験者が語る中小塾にしかできない“下剋上”戦略とは
塾のコンセプトは「極めて」明確かどうか
塾のコンセプトは集客の重要な鍵です。そのため、塾のコンセプトは明瞭かつ具体的である必要があります。実際の活動がコンセプトに則っていれば、顧客の信頼と満足に直結します。
伝わりやすく、顧客が感じ取りやすいコンセプトの方がより効果的です。コンセプトを伝える際には、分かりやすく簡潔な言葉選びに注意しましょう。
はじめはとにかく集客に力を入れましょう。折込広告、ポスティング、体験授業、説明会など、さまざまな手段を駆使し、教室長自らが積極的に前線に出て、自塾の魅力を直接アピールすることが重要です。
参考記事:効果的な塾の集客方法とは?さまざまな媒体を活用したマーケティング
塾・スクール経営者の悩み③生徒・保護者との関係性
塾・スクール運営において、意外と見落とされがちなのが、生徒や保護者との関係性です。最初は、講師としての接し方と経営者としての接し方のバランスに悩むことがあります。
講師として親しみやすく、かつ尊敬される存在であることは重要ですが、経営者としての立場では、時には厳しく、プロフェッショナルな姿勢も必要です。このような多面的な役割を理解し、適切な距離感を保つことが塾の信頼性を高める鍵となります。
近年、生徒たちが敬称を省略し、講師を呼び捨てにする傾向が見られます。これは、講師としては親近感を持たれる好ましい兆候ですが、経営者としては保護者から見て威厳が欠け、頼りなく映る可能性があります。
難しいですが、生徒たちには親近感を持って接する一方で、保護者には信頼と尊敬を得られるよう、適切な距離感を保つことが求められます。服装や持ち物で差をつけてもいいかもしれません。
とはいえ、教室長のキャラクターも差別化の一つ。トップとしての威厳を保ちつつも、親しみのある先生。「教室長はかくあるべき」に縛られない新しいスタイルを見つけるのもありです。
参考記事:新米教室長のお悩み相談室「教室長交代で保護者からの洗礼が怖い」
塾・スクール経営者の悩み④休みが取りにくい
開業当初は多忙さを極めるものですが、身体は基本です。体や精神を壊してしまっては元も子もありません。忙しさの中でも、アナログな事務作業はシステムを導入することで効率化することが可能です。お知らせや請求、欠席・振替対応などは、塾・スクール経営専用のシステムを活用するといいでしょう。
今はリモートワークもできます。事務仕事など、教室へ行かなくてもできる仕事は好きな場所でできるような体制を、最初から整えるとよいでしょう。
Comiruのような塾・スクール専用システムを導入すれば、パソコン、タブレット一つで業務を進めることができます。
塾・スクール経営者の悩み⑤人材(講師)が集まらない
人材の獲得は、学習塾経営において非常に重要なポイントです。生徒数が増加すると、塾長一人ではすべてを管理するのが難しくなります。しかし、「生徒が集まってから講師を採用する」というアプローチでは間に合いません。
優秀な講師をどう集めるか
人材は塾経営の重要な資産であるため、必要な人材を確保できるように計画的に行動することが求められます。
学生講師を採用したい場合は、学生の生活スタイルや考え方、取り巻く環境など理解する必要があります。「塾講師はバイトとして“割りに合わない”」と考えている学生も少なくありません。それでもここで働く意味とは何か、魅力は何か。明確に説明できるでしょうか。
参考記事:優秀な講師採用の新ルール。集め方と見極め方 <前編/優秀な講師をどう集めるか>
過去の塾のイメージでは講師は集められない
過去の塾講師に関する一般的なイメージは、「子供が好き」「教えることに情熱を持つ」という点が重視される時代でした。また、アルバイトとしての塾講師は、高時給や仕事の容易さから多くの人に魅力的に映っていました。
しかし、現代の塾業界では、教育に対するニーズの多様化と社会情勢の変化により、講師には以前とは異なるスキルセットが求められるようになっています。例えば、高度なコミュニケーション能力。学生講師とは言えど、生徒や保護者との効果的なコミュニケーションが求められます。もちろん、知識力やわかりやすく伝える表現力も必要です。「誰でもできる仕事」という認識を持っていたとしたとしたら危険です。講師は単なる従業員ではなく、塾の重要な資産であることを忘れずに、その価値を尊重してください。
参考記事:学生講師が辞めない塾はこうしてる!採用と定着のヒントまとめ
塾・スクール経営者の悩みまとめ
塾・スクール経営者として直面する課題は数多く存在しますが、これはあらゆる業種での経営者に共通する状況です。重要なのは、これらの課題にどう対応していくかです。
事前に様々な課題を認識しておくことで、経営における難しい局面を乗り越える準備ができます。この記事では、開業後の一般的な課題について解説していますが、経営を続ける過程でさまざまな段階を経験します。これらの様々な時期に直面する際、ビジネスを成長させ続けるための鍵となるのは、従業員、同業者、他業種の仲間、そしてこれまでの経験です。
経営者としての旅路は、開業の瞬間から始まっています。
適切な事前準備を行い、企業が長期にわたって繁栄するための基盤を築いていきましょう。
常に前向きな姿勢で、将来に対して戦略的なアプローチを取ることが、成功への道を切り開く鍵となります。
・「Facebook」は、Meta Platforms, Inc. の商標または登録商標です。













