合格した生徒へかける言葉、思うようにいかなかった生徒へかける言葉

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前回は、入試直前の生徒にどんな声がけをするのがよいか、入塾前の保護者とのコミュニケーションなどについてご紹介しました。今回は、合格発表後の生徒への声がけについて、お伝えします。

 

合格した生徒にも、残念ながらうまくいかなかった生徒にも、言葉がきちんと届くかということは「普段の授業や関わり方にかかっている」ということを、前回お伝えしました。「合格おめでとう」と声をかけて「先生と塾の仲間のおかげです!ありがとうございました!」と答えてくれるか、「今回はうまくいかなかったけど次につなげよう!」と声をかけて「高校でもここに通って大学受験でリベンジする!」と答えてくれるのかは、普段の授業や関わり方にかかっており、生徒の反応はとても素直だと思います。

 

合格した生徒へ伝えること

 

もちろん合格は素直に喜んでいいのですが、一方で、思うようにならなかった子に思いを馳せることも大切です。仲間と切磋琢磨した結果であること、そして、合格はスタートであり、これからの人生「形を変えながら入試はまだまだ続くから油断せずに努力を続ける」という覚悟も同時に伝えられたらと良いと思います。

 

・あなたが合格したのはあなたの努力が一番。でも、このクラスの仲間と一緒に勉強できたからかもしれない。友達と切磋琢磨できたから頑張れたという気持ちを忘れないでね。

 

・合格がゴールじゃない。その先の人生の方が長いし、輝いている先輩はこの先も努力し続けているんだよ。入試という「節目節目の関門」は形を変えながらずっと続くんだよ。

 

・この高校に合格したということは、この高校からキミが行きたい大学合格者数■名だから、その位置を目指さないといけないね。これからが本当の勝負だよ!

 

・この高校の高1の英数国の教科書類。英数国だけで3590ページだから、中学の英数国711ページの5倍くらいの量だよ

 

本人が努力で勝ち取った合格、たくさん褒めたあとは、合格はゴールではなくスタートであることを、具体的なエピソードとセットで伝えてあげるといいと思います。エピソードの出し方についてはこのあとご紹介します。

 

うまくいかなかった生徒へ伝えること

 

得点開示の入試も昔よりは増えてきました。不合格は本当にタッチの差です。具体的にあと何点で合格だったのか、もしわかれば必ず生徒に伝えましょう。たった1問で結果が変わるのだという事実を、視覚的に伝え、次につなげるよう勇気づけしましょう。

 

また、入試が今後の人生を決めるものではなく、ただの通過点であることを伝えることも大切です。「うまくいかないこともある」ということも入試の前に、理想は入塾時に保護者・生徒にお話しておきましょう

 

・今回は残念だったけど、人生まだまだ試練がある!これからも一つ一つ乗り越えよう!応援してるから、いつでも相談においで。

 

・この結果で人生が決まるわけじゃないんだよ。この先輩も実は中学受験で思うようにならなかった。でもそこからがんばって、今は希望していた仕事の第一線で活躍してる!中学入試が思うようにいかなかったあとで「どういう気持ちで、どうしたか?」このインタビューを読んでみるといいよ。

 

・先生が中学校の先生なら合格!●●くん(さん)が頑張ってきたのを知ってる!当日緊張したかもしれないね、人間だからそんなこといくらでもある。でももしかしたら、もしかしたら、先生がアドバイスした単元を十分復習できてなかったかもしれないね。そんなことは誰にもある。大丈夫!次に繋げればいいだけ、その力を●●くん(さん)は持っている!

 

・大丈夫!たかだか入試、いくらでも今から取り返せる!大切な人がいなくなったわけじゃないし、不幸な人生じゃない!前を向こう!次の入試で一緒に笑おう!

 

・キミがこれからの高校入試や大学入試、その先も続く関門を乗り越えて、笑顔を見せている姿を見たい。その時はヒーローインタビューさせてね!

 

ここでも、教師の立場から「まだまだこれから」「次があるよ」などと声をかけるよりも、近い先輩のリアルな情報をそっと差し出す方が生徒の心に刺さります。自分だけじゃないんだと客観的に理解し、今後の人生の道しるべを知ることができるからです。

 

感謝される入試を目指す

 

もちろん、無事に合格して感謝されるのが一番ですが、たとえうまくいかなかったとしても、保護者に「この塾に通わせてよかったな」と思ってもらうための努力は必要です。たとえば、学習習慣が身についた、生活にメリハリが出てきたなど、保護者が「うちの子良い方へ変わったな」と感じたり、生徒自身が「変われるかもしれない」と実感できるような場所であってほしいと思います。

 

合格実績という宣伝文句に隠れた生徒一人一人の頑張りに寄り添い、しっかりフォローする塾でなければいけません。その姿勢が、継続通塾や、新規入塾につながるのだと思います。生徒へかける言葉は具体的に。事実による啓蒙、伝達を心がけましょう。先にお伝えしたような先輩事例をたくさん集めておくことをおすすめします。

 

リアルな数字で伝える方法

 

さて、先輩の事例をリアルな数字で視覚的に伝えるとよいとお伝えしました。最後に具体的な伝え方の例をいくつかご紹介しましょう。

 

<今後の学費のこと>

目的:生徒に学習・入試への覚悟を決めさせるため

 

以下の図は、大学で「独り暮らしで私立大学に進学した場合」と、「地元の国立大学に進学し自宅から通う」場合の費用の差(受験費用も含む)です。「独り暮らしをして私立大学に進学するのは良くない」と感じてもらうのでなく、家族はこれだけお金をかけて自分の夢を応援してくれるのだ、それに応えるためにも、勉強を頑張ろうと、覚悟を持ってもらうことが大切だと思います。


こちらのサンプル画像を詳しくご覧になりたい方はこちらよりお問い合わせください。

 

<高校での通塾率>

目的:生徒・保護者に継続通塾の覚悟を決めてもらうため

 

いろいろなメディアで、例えば東京大学に合格した学生の高校での通塾率を特集したような記事が出ます。ある年の週刊誌の記事で、東大生160人中、塾に通っていたのは160人、通っていた塾の総計は252塾という記事が出ました。通塾率100%、平均1.58塾に通う…。これがリアルなデータなのです。「160人中何人塾に通っていたと思う?」と質問してみても良いかもしれません。

 

これを資料にし保護者会で紹介し、メルマガでも伝え、東大に行くような生徒でも塾に通っているのが現実です、と話しました。塾に通わない生徒・保護者にも、覚悟を決めるきっかけになります。

 

ご家庭の事情もあると思うので自塾に引き続き通わないとしても、覚悟して頑張ってもらえれば、それで良いと思います。また、たとえば高3で復塾してきた時に「高1から引き続き塾でも頑張っていた生徒」と大きな差がでるかもしれません。

 

このようなことは言葉ではなかなか伝えられないので、資料にして渡すのが一番いいと思います。

 

<先輩インタビュー(壁新聞・メルマガ)>

目的:生徒に今後の人生をイメージさせるため

 

途中の入試でうまくいかなかったが大学入試でうまくいった先輩塾生のインタビューを、とにかくたくさんコンテンツ化しました。合格者インタビューは比較的簡単に実現しますが、そうでない生徒のその後を追いかけてインタビューするというのは少し難しいかもしれません。しかし、それだけの価値があります。

高3生であれば、第一志望でない大学へ進学したが、希望の仕事についた、起業した、国家試験に合格した、などの先輩塾生のインタビューには勇気を与えられると思います。

 

保護者会でスライドにして見てもらったり、メルマガを発行、印刷して渡す、読み合わせをする、塾の会報誌にする、伝える方法はいくらでもあると思います。「事実こそ人を動かす」と思います。

 

わたしは思うような結果が出せなかった生徒に、「こんな先輩もいるから頑張ろう!」と声をかけ、「*年後にキミのインタビューをさせてくれ!」と声をかけていました。こんな風に、先輩の話を聞いて心動かされた後輩が、先輩になって後輩の心を動かす、最強のループが何年も繰り返されていくのです。これは塾にとって大きな資産です。

 

 

こちらのサンプル画像を詳しくご覧になりたい方はこちらよりお問い合わせください。

 

<先輩訪問>

目的:生徒にこの先の自分をイメージしてもらう。覚悟を決めてもらうため。

 

入試で思うようにいかなかった教え子には本当にたくさん協力してもらいました。インタビュー形式でさまざまなコンテンツに展開してきましたが、やはりリアルな声は生徒の心に響きます。

インタビューで読んだ先輩が、実際に教室に来て話しをしてくれれば「あっ、●●先輩だ!」と最初から聞く耳をもって話しを聞いてくれます。時期は学年変わりや夏期講習会あけや入試前など、自塾の状況に応じて考えたら良いと思います。

 

その中から、ある先輩からのメッセージの一部をシェアします。彼は中学受験で全敗し、高校入試でトップ校と言われる学校に合格しました。そこから努力を続け、東大に合格し、会いにきてくれました。彼の原点は小学6年生で味わった全敗という挫折だったのです。30人程度のクラスで、どこの中学にも合格しなかったのは彼ひとりだけでした。

 

『結局は自分がどれだけ高い意識を持てるかということ。

みんなは今、中学入試のことで頭がいっぱいだと思うけど、合格しても向上心を忘れては意味がない。

大学入試というのは全国レベルの争いになる。周りに流されずに、自分の目標を持ち続けることが大事。

自分は中学受験の悔しさをバネにできたけど、それは落ちればいいということではなくて、どこに進学しても自分の気持ちの持ち方で結果が決まるということ。』

 

どうでしょうか。こんな話を自分と同じ塾で頑張っていた先輩が目の前でしてくれるのです。生徒たちは真剣に聞き入り、その瞬間から表情が変わります。

 

まずは良い授業を行うこと、生徒との対話を丁寧に行うことからです。「教師の言葉を聞き入れてくれる素地」があって初めて、生徒に言葉が届くのだと思います。

 

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