個人の小さな塾の開業に必要な3つのポイントとは?

監修いただいた先生

子どもの数が減っても、学習塾へ通う子どもの数は増えているというデータがあります(※)。これほど少子化が進んでも、主要駅前には所狭しと塾が立ち並び、塾へ通う子ども、迎えの保護者で賑わっています。

 

塾開業は特別な資格もいらず、初期投資もさほどかかりません。それに、多くの場合が次月の授業料を前月に先払いしてもらうため、キャッシュフローの心配も少なくて済みます。年間のイベントごとも決まっていて売上予測もつきやすく、ビジネスの魅力を感じている方は多いと思います。今回は、個人塾の開業について押さえておきたいポイントをご紹介します。

 

※参考:なぜ塾経営にDXが必要なのか<Comiruと塾業界の「あゆみ」>

 

個人塾開業のポイント① ターゲットとコンセプトを固める

エリアと物件を決め、内装を整え教材を用意したからといって、すぐに生徒が集まるわけではありません。大切なのは、開業前の段階で、どんな塾にしたいのか、目指すビジョンと自分の塾の強みになるとっておきのコンセプトを決めておくことです。 

塾の形態を選び、何をするのかテーマを決める

まず、塾の形態には次のようなものがあります。

・進学塾(学校より先にカリキュラムを進めていく予習型)

・補習塾(学校の進度に合わせてわからないところを学習する復習型)

・集団指導塾

・個別指導塾

・自立学習塾(生徒が自分で計画を立て、自分で勉強できるようになることを目指す)

・オンライン塾(WEB会議システムや、メタバース内で受講する塾)

・ハイブリッド型(集団と個別、通塾とオンライン等、良いところを組み合わせる型)

 

それぞれどの形態を選ぶのかにより、集まる生徒や保護者の顔ぶれが変わります。志望校合格第一とする塾なのか、定期テスト対策で補習を中心にするのか、何を大事にするかによって、塾の特徴が変わってきます。

 

大手塾との差別化は比較的簡単!

大手塾がある地域では生徒の獲得が難しいと考えがちです。もちろん、個人の小さな塾が大手塾と同じスタイルで戦っても、勝てる見込みは少ないでしょう。大手塾ができないところで差別化を考えれば、チャンスはいくらでもあります。現に、塾の多いエリアでは、様々な形態の塾がひしめき合っています。

例えば、大手塾は資本力があるため、教室展開数や広告宣伝費等がケタ違いです。一方で、本部の方針に沿って運営しないといけないため、教室独自のカラーを出すことができません。指導報告など個別のコミュニケーションも大手塾ではなかなか対応できないことが多いものです。細やかなコミュニケーションも大きな差別化ポイントの1つとなるでしょう。

通っている大手塾に不満を感じている生徒を獲得したいと思うなら、まずは開業を予定している地域に大手を含めどんな塾があるのか、どのような属性の世帯が多いのか、どんな塾が求められているのかといった、事前のマーケティング調査が重要です。

個別指導がいいのか、集団授業がいいのか、調べてみると地域の特性も出てくると思います。今では集団指導塾の補習を個別指導塾で行う、塾の掛け持ちをする生徒も少なくありません。その地域にどんなニーズが多そうか、開業前に少し時間をとって調べることをお勧めします。

参考:選ばれる個人塾になるための下剋上戦略【前編】  ~やるべきは「大手ができないこと」~

 

誰を相手にどんなビジネスをするかを決める:ターゲティングとコンセプト設計

開業予定地域の競合や市場の調査を行ったら、次にターゲティング、誰を相手にビジネスをするかを決めます。ポイントは、ターゲットとして想像する相手を生徒よりも先にその保護者におくことです。授業をするのは子どもですが、価値を見出してお金を払うのはその保護者です。子どものどんなことに困っているのか、両親ともに大卒?共働き?世帯収入はどのくらい?など、具体的なユーザー像、つまりペルソナを描いていきます。

面倒と思われるかもしれませんが、これがターゲティングの精度を高め、明確なコンセプトを打ち出す第一歩です。最初から誰を相手にビジネスをするのか決めておくことで、その後の運用もスムーズになります。

ターゲットとコンセプトが決まれば、誰にどんな授業を提供するのかが自ずと明らかになります。教材や指導方法を選定し、あとは相手が来るのを待つだけです。集客方法もターゲットによって手法を分けたほうがうまくいくでしょう。チラシなのか、SNSなのか、相手に届きそうなツールを選択しましょう。 

参考:<連載>中小・個人塾のためのマーケティング講座

 

個人塾開業のポイント② 最初はなるべくスモールスタートで

飲食店などと違って、塾は少資本かつ固定費を抑えた開業ができます。はじめての起業であれもこれもと欲張ってしまいがちですが、ここはぐっと堪えて、最小限の固定費での開業を目指してください。目安は、最初の半年は生徒が来なくても運営できるくらいの資金繰りでスタートします。

物件にはこだわる

スモールスタートと言っても、最大の固定費である物件費を節約しすぎては後々苦しむことになります。家賃が安いからといって駅から離れた住宅街に塾を作っても、夜、暗い道で子どもを通わせたい保護者は少ないでしょう。保護者の送迎を前提に考えているのであれば、周囲の方々への挨拶をするなど、評判の低下を塞ぐよう努めましょう。

参考:3ヶ月〜6ヶ月が目安!?小規模な塾の開業準備について把握しよう

必要な費用を見極め、その他の固定費、例えばコピー機や物品購入などはなるべく抑えるなどの工夫をしましょう。また、最初から講師を採用しすぎないように、生徒が10人、15人超えたら1人採用する、などの計画も立てておきましょう。最初は塾長が授業をするケースが多いと思います。その際には、対象を絞り、専門外のことには手を出さないことです。コンセプトに忠実に、少しずつ信頼を集めていきましょう

システムはいつ入れるのが妥当か

よくある悩みが、システムをいつ入れるのが良いのか、そもそも入れたほうが良いのかという問題。結論から言うと、いずれ入れるつもりなら早めに入れておくと良いでしょう。 

システム導入にはもちろんコストがかかりますが、システムによってはスモールスタートで導入できます。今必要な機能だけ先に入れておく、生徒が増えたら使える機能を増やす、そんな柔軟な対応ができるシステムを選べば、むしろメリットの方が多いでしょう。小・中学生をターゲットにするなら、入退室を管理できるものは少なくとも必要です。

開業後しばらくは問い合わせ対応や集客、生徒・保護者対応など、慣れない業務にバタバタするでしょう。塾専用のシステムを導入しておけば、塾に関する業務は全部網羅されているため、今対応するべきことは何か、次にやることは何かが明確になります。

 

また、Comiruなら、スモールスタートで始められるのはもちろん、共同購入サービスを利用し、コピー用紙などが安価で購入することができます。

 

参考:塾の運営に専用システムが必要な理由

 

個人塾開業のポイント③ 最初だからこそコミュニケーションを丁寧に

個人塾を成功させるためには、限られたリソースで最大限の収益を生む必要があります。小さな個人塾では、ほとんどの業務を塾長1人でこなす必要があるでしょう。どの業務に時間をかけるか、優先順位をつけるのならば、生徒・保護者とのコミュニケーションが1位です。

広告よりも口コミで問い合わせてくれる生徒の方が圧倒的に確度が高いのですが、ではどうやったら口コミが生まれるのか。それは日々のコミュニケーションです。授業の内容ももちろんですが、その後のフォロー、細やかな連絡がスムーズかどうかがポイントです。

授業をやっておしまいではなく丁寧な指導報告を適切なタイミングで行うこと。出欠連絡、振替の対応を柔軟に行うこと。生徒や保護者の疑問や不安にすばやく反応し対応すること。日ごろのコミュニケーションから生徒の特徴を的確に捉え、「ちゃんと見てますよ」と保護者にアピールすることが、信頼につながります。

コミュニケーションのツールはメールやアプリなど、保護者のライフスタイルに合わせたものを用いるようにしましょう。これは塾にとっても効率的です。

 

便利なシステムをうまく活用して、効率化できる業務を切り出し、残った時間はすべて教務と生徒・保護者コミュニケーションに費やしましょう。もちろんコストがかかるため、検討は慎重にすべきですが、生徒1人入塾するだけで、年間20〜30万円ほどの売り上げが上がることを考えれば、メリットの方が大きいと思います。

 

参考:Comiruの歩き方【指導報告書編】保護者満足度UPと効率化を両立!

 

個人塾の開業のポイント まとめ

 

塾開業は、資格も必要なく、資金も他の業種に比べると少額でスタートできます。今回は3つのポイントについて説明しました。

 

個人塾開業のポイント① ターゲットとコンセプトを固める

個人塾開業のポイント② 最初はなるべくスモールスタートで

個人塾開業のポイント③ 最初だからこそコミュニケーションを丁寧に

3つのポイントを参考に、効率的かつ質の高い塾経営を目標にしましょう。

Comiruでは塾開業に関するご相談を受け付けています。こちらまでお気軽にお問い合わせください。