Vol.5「自塾の講師ながら、指導報告書がイマイチすぎる」

監修いただいた先生

目標だった教室長。でもいざ働き始めると、「こんなはずではなかった」「思っていたより辛い…」という声も。「新米教室長のお悩み相談室」は、そんな悩める新米教室長のためのコラムです。解決するのは、おなじみComiruアドバイザーの大澤先生です。

 

今回のお悩み(個別指導習塾新米教室長 N・Kさん)

「講師の指導報告書がイマイチ・・・。とはいえ、指摘しすぎると講師のやる気も下がってしまう。指導報告書の指導、悩ましい・・・。」

 

指導報告書にどんな意味があるのか

塾にとって指導報告書は大切なツールです。それは教室長なら分かりきったことです。塾はサービス業。直接サービスを受けているのは生徒で、親はスポンサーであるという特殊なビジネス構造上、スポンサーである保護者には、タイムリーにサービス内容を共有する必要があります

この大切な役割を、アルバイトの学生講師に担わせているのです。彼らはそのことを理解してくれているでしょうか。

当然、アルバイトの学生に「キミの指導報告書が塾の明暗を分けるんだぞ!しっかり書け!」と言った途端、「ウザ」の二文字で一蹴されてしまいます。ではどうすれば協力してもらえるのか、実はコツがあります。私の経験からお話しましょう。

 

学生講師と作り上げる指導報告書

私が塾長をしていた塾では、長らく紙の指導報告書を運用していました。令和では考えられないことですが、1ヶ月に一度、お手紙にして郵送をしていました。しかし、1ヶ月前の指導内容なんて誰も求めていません。我々は、サービス業としての義務を果たすべく、タイムリー性を最重視し、Comiruを導入することになりました。

Comiruの指導報告書は毎授業ごとに保護者に送ります。これにはすべての講師の協力が必要不可欠です。

まず我々がしたことは、Comiru導入に踏み切った理由、塾として大切にしたいこと、この先のビジョンなど、講師に丁寧に説明することでした。その上で、指導報告書にどんな内容があればいいと思うか、テンプレートを作るとしたら、項目はどんなものがいいかなど、リーダー講師たちの意見を求めました

リーダー講師は、複数いる講師の中でもキャリアが長く、目的意識が高い学生たちです。保護者が求めそうな情報、塾として共有したい内容など、一番近くで生徒と対峙している彼らならではのアイデアがたくさん出て驚きました。

では何を採用し、どんな指導報告書にするのか。塾からの条件は、塾として大切にしていることを盛り込むこと。当時「自立学習ができる子どもを育てる」というミッションを掲げていたため、その観点は必ず盛り込むようにリクエストしました。

もちろん塾が最終決定はしますが、極力リーダーの意見を反映させることを約束しました。そして、決まった内容は、リーダー講師からすべての講師に指導するようにと伝えました。

そうすると、あれもこれもと盛り込んでいた意識高い系のリーダー陣は、「この内容は新人には難しいな」「この量は指導時間内に書くのは無理そうだな」などの議論を繰り返し、ついに講師主導による指導報告書が完成したのです。

かなりの時間を費やしましたが、それくらい大事なことだと思います。結果的に、自分たちの意見が反映された指導報告書なので、やらされ意識も減り、講師同士でチェックしあったり、相談しあったりするようになりました。社員の負荷もかなり軽減されました。

ここで大切なことは何かと言うと、指導報告書の目的を、講師にも腹落ちさせるべきだということです。この例のように講師と一緒に作り上げることが難しくても、目的を共有できていれば、極端におかしな報告書にはならないでしょう。目的を理解せず、指導報告書を書くことが目的になるとうまく行きません。

 

学生講師は強力な戦力。徹底的に巻き込むべし

指導報告書の作成、または今の形からの改善に、講師をどこまで巻き込めばいいのか悩むかもしれません。果たして学生は二つ返事で協力してくれるのかどうか、時給が発生するとはいえ、どこまでコミットしてくれるのか・・・。

私の経験から言うと、意識の高い学生は進んで協力してくれます。なぜなら、アルバイトの立場で、塾の根幹の業務に携わることができるからです。何事も経験に勝るものはありません。この経験は必ず社会に出てから役に立ちます。「失敗してもいいからやってみろ」と言われて、やってみた結果、失敗してもいいんです、アルバイトだから。社会人になるとそうはいきません。

実際、私の塾の講師アルバイトはとても人気でした。あそこではいろいろ経験させてもらえる、就活のアピールになる、と。内心、学生たちが自走してくれて楽ができるな、と思ってはいましたが(笑)、みんなが塾のため、生徒のために切磋琢磨し合える、良い関係性だったと思います。

講師を巻き込むことは時間も労力もかかりますが、トップダウンで決めるよりも、後が楽になります。大人が考えつかないようなアイデアが出てくることもありますよ。

 

指導報告書への保護者の反応をシェアし、事例としてストックする

次に大切なことは、指導報告書に対する保護者の反応を、良いものも悪いものも含めて、講師含めスタッフにフィードバックすることです。事例の共有とストックは社員の大切な仕事で、この先塾の資産になるものです。

指導報告書を読むことに全力を注ぐのではなく、その反応をシェアし、講師と塾のために生かすことに力を尽くすべきです。

また、指導報告書は一度決めたらずっとそのまま使い続けるというものではありません。時代の流れ、国の方針、入試の傾向の変化など、時代の変化にアンテナを立てておいて、指導報告書の項目に追加することも社員の仕事。常に全体を把握し、個別に最適化を図ることを心がけてください。

 

指導報告書をきちんと書いてもらうためにするべきこと

さて、今回のご相談「指導報告書をきちんと書いてもらうためにはどうすればいいか」についてのアドバイスをまとめます。 ・指導報告書の目的、塾として大切にしたいことを共有し、理解してもらう。 ・指導報告書作成、または改善に、講師の意見も反映させられるとベター。 ・指導報告書の保護者からの反応は講師にシェアする。 ・指導報告書は改善のために形を変えてもいい。 指導報告書をきちんと書いてもらうためにすべきことは、書きやすいテンプレートを用意したり、書き方の研修をするということではないということです。 社員は全体を見て大きな動きをするべきです。講師が書いた指導報告書の内容を全部チェックするべきだと思っていませんか?それは本来やるべきことではないかもしれません。

今回のご相談内容ですが、イマイチな指導報告書ができあがってしまう背景に原因がありそうです。もう一度、塾として何を大切にしているのか、生徒にどうなってほしいのか、そのために講師にどんな指導や工夫をしてほしいのか、原点に立ち返って会話をしてみてください。 指導報告書についてはこちらの記事も参考にしてください。

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