やる気がない生徒を増コマに持ち込む術 面倒くさがり生徒のケース

監修いただいた先生

態度が悪いわけでも、やる気がものすごくあるわけでもない。義務的に授業に参加して、時間になったら帰っていく生徒。手はかからないものの、成績が上がるわけでもないので保護者の反応も気になる…。一言で言ってしまえば「やる気のない生徒」こそ、増コマのチャンスを秘めています。

 

実際の例でご紹介します。今回のやる気のない生徒の特徴は、とにかく面倒くさがり。男子によくあるタイプだと思いますが、とにかく雑です。国語を担当しているのですが、問題を解かせてもあっという間に終わってしまい、回答を見たら間違いだらけ。問題を読んでいないのが一目瞭然です。。学力が低いわけではないので、ちょっとした努力で絶対に成績は上がるはずです。

 

あるとき、その生徒のお母さまから「指導報告書」に返信する形で相談がありました。

 

この問題にどのくらい時間をかけるのが正解ですか?

 

それまでにも、「ちょっと思考停止しがちです」「文章が長くなると処理できないようです」など、彼の課題を伝えていたのですが、ある時、テキスト(問題)の写真と一緒に、「このくらいの問題はだいたいどのくらいの時間をかけて解くものでしょうか?」という質問がきました。

 

「他者に説明できるレベルに理解するためには、だいたい1時間くらいはかけてほしい」

「解き終わってから、解き直しに時間をかけるのも重要」

 

とお伝えしたところ、「息子は15分で解き終えてしまった」とのこと。送られてきた写真には努力した痕跡もなく(笑)、簡単すぎてすぐに終わった、というわけではなさそうです。

 

そもそも机に向かう時間がほとんどなく、中学受験をするかどうかも悩んでいるというご相談もありました。ですから、

 

「このくらいの年齢の男子にはよくあること」

「勉強に身が入らない理由など、塾でもそれとなく探ってみる」

 

という話をして、指導報告書では何をどのくらい取り組んだか、詳細に記載するようにしました。

 

<面倒くさがり生徒への有効なアプローチ>

  • 興味のありそうなテーマから取り組む
  • クイズや問いかけ、雑談を入れながら主体的に学習させる
  • 難しいテーマや内容には共感しながらヒントを与える

 

興味がありそうなテーマから取り組む

 

15分しか勉強しない子に、いきなり1時間やりなさいというのは難しいものです。それでも、国語に関しては特に、ちょっと興味がありそうなテーマや、好きな分野の話ならば、時間を忘れて取り組んでしまうということはよくあります。

 

例えば、東京に住んでいる生徒に“新宿駅が乗降客数世界一”という話をしたことがあります。これがすごく刺さって、1日何人くらいだと思う?通勤電車で使うかもしれないね、どんな仕事がしたいの?など、話がどんどん膨らみました。こんなことから国語のアレルギー的なものを取っていく作業は、最初だけ時間はかかるかもしれませんが、結果的に効率の良い指導法だと思います。

 

「興味のあるテーマなら読める」というレベルになれば、しばらくは他のテーマであっても、知っている単語があれば解けるようになります。しかしながら、当然、それだけでは太刀打ちできなくなってきます。国語の問題は入試レベルになると急に抽象度が増すので、結局何が言いたいのか、わけがわからなくなります。せっかくアレルギーがなくなったのに…!

 

「回りくどいね」「分かりづらいね」共感しながら応援スタイル

 

わたしの指導では、こうなったところで、同じくらいの抽象度の問題をなるべく多く解かせます。入試の過去問や、模試の解き直しなどが同じくらいの抽象度を保てるのでおすすめです。

 

「この作者回りくどいよね!?」

「結局何が言いたいか分かりづらいよね!?」

 

など、時には生徒の気持ちに共感しながら、でも一緒にがんばろう!と声がけします。

 

大人だって読みたい本を手にとって読みます。子どもはなおさら、興味のない話にじっくり向き合うことは難しいですよね。でも、国語にはラッキーなことに読解のルールがあります。国語アレルギーが完全に取り除けなくても、ルールを知って当てはめていく作業ならできるという生徒さんもいます。

 

機械的に、この場合はこうする、これが出たら丸をつける、という工程を淡々とこなすことができるのも、感覚的に男子に多いような気がします(諸説あり笑)。

 

まずはアレルギーを取り除いて基礎力をつける

 

反応はもちろん生徒によりますが、そもそも集中力が足りない生徒なら、時間はかかると思います。ちなみに、わたしの生徒は週1回の授業でこれをやっているので、本来ならば増コマ案件です(笑)。もっと時間をかけてやれば確実に力はつきますが、親御さんも「そもそも中学受験が難しいのかも」という状況なので、今はこのペースで少しずつ取り組んで基礎力をつけ、秋くらいに現実を突きつけられてから直前増コマになると思います。

 

早めに基礎力をつけてしまえば、志望校が決まってからの直前対策もしやすいですし、まずはアレルギーを取り除いてあげることです。15分の集中を20分、30分にするためには、何が響そうか。テーマ選定なのか、声がけの仕方・タイミングなのか、生徒に応じた対応を見極める必要がありそうです。

 

Comiruの指導報告書が使える!

 

わたしの場合、保護者と共通認識を持てていることは大きいです。このコミュニケーションにはComiruの指導報告書がとても役に立っています。生徒の実際の答案を写真に撮って送れるため、授業内容、取り組みの様子が伝わりやすいと思います。

 

(実際の指導報告書)

 

指導報告書には保護者が既読をつけ、質問やコメントを返してくれます。家庭学習についても、写真でのやり取りをよく行います。認識の齟齬も生じず、保護者も安心して任せてくれます。生徒の課題が保護者にリアルに伝わるので、危機感の演出にも役に立つかもしれません。