内部充実のための5つの施策 優秀な学生講師の採用・育成 vol1

監修いただいた先生


入塾数アップの基本は、内部充実を進めて生徒の満足度を高めること。 

塾経営において大切なのは、内部充実です。極論ですが、生徒が辞めなければ、生徒数は減りません。新規入塾者の分だけ増えていきます。ですが、塾経営者の多くが入塾者を集めることに必死になるあまり、肝心の塾の内部に目をしっかり向けられていません。 内部が充実すれば生徒の満足度が上がるため退塾は減ります。逆に内部が未整備のままでは、いくら販促に力を入れて新規の入塾者を集めても意味がありません。生徒の満足度が上がらず、みんな辞めていってしまうからです。販促は内部を充実させた上で取り組むことが必要不可欠です。 

 弊塾の話で恐縮ですが、個別教育フォレストはチラシの折込を基本的に春のみ行っており、3〜4月には80名の定員がすべて埋まります。年間のキャンセル待ちは10〜15名、退塾者は年間1〜2名(非受験生)です。また、ありがたいことに、中3生は実に7〜8割が継続してくれています。 この集客効果と満足度を支えているのが内部充実です。優秀な講師、快適な学習環境などを揃え、生徒が通いたくなる塾づくりに注力した結果、入塾希望も格段に増加しました。  

個別指導塾の顔は担当講師。採用はしっかり投資し妥協せず、育成は信頼関係を意識して丁寧に行う。 

内部を充実させるために必要な施策は次の5つです。 

・ 優秀な学生講師の採用
・育成 ・ 保護者との密な連絡
・ 1on1ミーティング
・ 業務の効率化
・ 中3の継続率アップ 

いずれも当たり前のことですので、何を今更と思われるかもしれません。しかし、塾の経営は基本的に多忙を極めます。そのため、実際にお話を伺うと経営が上手くいっていない塾ほど、これらの施策にまだ改善の余地が残っている場合が多いことも事実です。 では、しっかり取り組むとはどういうことか。それぞれ個別に紹介します。まず優秀な学生講師の採用・育成です。 

優秀な学生講師の3つの条件

個別指導塾の場合、生徒と保護者が塾のことを話題にするとき、登場するのは講師です。教室長でも副教室長でもありません。「今日先生とこんな話した」など、話題の中心は講師です。これはつまり、塾の評価=講師の評価であることを意味します。言い換えれば、個別指導塾の良し悪しは、講師の良し悪しに依存するということです。 個別指導塾の場合、講師の多くは学生講師だと思います。つまり内部充実のためには良い学生講師の採用・育成が必要不可欠。では、良い学生講師とはどのような講師でしょうか。条件は以下の3つです。 

 ・ コミュニケーション能力がある 
・ 相手の立場になって物事を考えることができる
・ 指導スキルがある 

この3つを備えた学生を採用・育成するように心がけましょう。  

採用のポイント 

学生講師の採用で大切なのは、しっかり投資することと妥協しないことです。 求人広告の掲載費用はコストではなく投資です。そして十分な投資なくして良い講師を採用することは絶対にできません。弊塾では生徒募集の倍近い費用をかけて講師を募集しています。時給も他の塾より高く設定し、少しでも多くの学生に興味を持ってもらえるようにしています。 応募数が少ないと、採用基準を妥協せざるを得なくなります。そうすると能力や適性が不十分の講師が指導することになるため、生徒の満足度が下がってしまい、やがて退塾につながります。 

先にもお伝えしたとおり、学生講師は塾の顔です。彼らの評判はイコール塾の評判。そのため採用基準は決して落としてはいけません。もし講師が足りなくて塾が回らない場合は、勇気を持って入会を止めましょう。採用にはそれくらい強い気持ちが必要です。 

採用手段としては次のような方法があります。 

 塾講師専用 web 媒体
・ 求人媒体(紙・web)
・ 大学掲示(※) 
・ 大学前での門配(※)
・ 大学で学生に声をかける(※)
・ 紹介 卒業生へのアプローチ 

(※については、実施して問題ないかどうか事前に大学へ確認を取りましょう)

1. 塾講師専用web媒体: 塾講師JAPANや塾講師ステーションなど、塾講師アルバイト専用の求人媒体です。実際に採用できた場合にのみ料金が発生する採用課金制のため、求人掲載自体は無料でできます。 

2. 求人媒体: タウンワークやフロムエーナビといった求人媒体です。掲載枠に対して費用がかかります。web媒体と紙媒体があり、地方では紙媒体のほうが効果が出るケースが多いです。利用する際は1回の掲載で何件の問い合わせや応募が入るのかデータを収集し、効果や講師1人あたりの採用単価を把握しておきましょう。 

3~5. 大学関連: 大学掲示は学内の掲示板に求人を掲載させてもらう方法です。門配は大学の前でチラシなどを配布する方法です。学生への声かけは定期的に学食などへ出向いて、直接声をかけて勧誘する方法です。大手学習塾も大学前での門配などを地道に行っています。なお、いずれも実施して問題ないか、事前に大学へ確認を取りましょう。また大学近くのワンルームマンションなどへのポスティングも有効なアプローチです。弊塾では生徒募集のポスティングは行っていませんが、講師募集のポスティングは欠かしません。

6. 紹介: 講師の学生に友人や後輩を紹介してもらう方法です。紹介料などの謝礼を設けると紹介を促進することができます。 

7. 卒業生へのアプローチ: 塾の生徒に「大学生になったらうちでアルバイトしよう」と打診する方法です。費用をかけずに質の高い講師を確実に採用できます。退塾防止にも効果的です。なお生徒から「講師になりたいです」と申し出があっても、採用基準に達していなければ、断る勇気が必要です。情に流されてはいけません。  


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