新米教室長のお悩み相談室<新規校舎開校直後期> 「集客プレッシャー」と「孤独」を解消するには?

新規開校に伴って、講師から教室長へ新しく抜擢された方もいらっしゃるかと思います。ところが、いざ教室長として働き始めると、「こんなはずではなかった」「思っていたより辛い…」という声も。そこでComiruでは、そんな悩める新米教室長のために、Comiruアドバイザーの大澤先生による「新米教室長のお悩み相談室」を開設します!

監修いただいた先生

新型コロナの影響で一時は縮小したかと思われた学習塾業界も、2021年度には多くの学習塾事業者で好調な集客状況がみられ、市場は回復に転じるものと予測されています(「学習塾・予備校市場に関する調査(2021年)」2021年9月6日発表/矢野経済研究所)。

新規開校に伴って、講師から教室長へ新しく抜擢された方もいらっしゃるかと思います。ところが、いざ教室長として働き始めると、「こんなはずではなかった」「思っていたより辛い…」という声も。そこでComiruでは、そんな悩める新米教室長のために、Comiruアドバイザーの大澤先生による「新米教室長のお悩み相談室」を開設します!

新米教室長の真の悩みとは…

新規の教室を任された新米教室長の一番の悩みは何だと思いますか?当人は気づいていると思いますが、周囲は意外と勘違いされているかもしれません。集客、実績、そんなことではありません。

ズバリ“孤独”です。

開校して初日から教室に生徒がたくさん集まっているなんてことはありません。問い合わせ対応に追われることもそうそうありません。今まさに、教室に一人、孤独で心が折れかかっている人もいるかもしれません。特に、新規開校で教室長に抜擢される人は、それまでに目覚ましい成果を出していることが多いでしょうから、なおさらこの状況が堪えるのです。

今回は、そんな孤独との戦いをどう力に変えるかという話になりますが、まずは前提として、新規教室を任された教室長として何が大切かということをお伝えします。

教室のコンセプトとターゲティングの重要性と集客

教室長に任命されたら、もれなくついてくるのが「集客目標」という名のプレッシャーです。本部からの突き上げや、他教室からの目も気になるのではないでしょうか。新米教室長はこれまでの実績が買われて抜擢されていることも多いので、そのストレスは相当なものだと思います。

この状況で、集客のために焦ってチラシを配るのはあまり得策ではありませんまず必要なのは、塾のことを正しく知ってもらうことです

コンセプトとターゲットを言語化する

集客する上で重要なのは、コンセプトを明確に打ち出し、ターゲティングすることです。そのために、教室長や講師の強みをアピールしたり、誰に対してどんな価値を提供するかを明確にしましょう。誰にでも当てはまる言葉は結局誰にも刺さりません。自分のことだ、と思ってもらえるような、具体性のある言葉で訴えましょう。

  • 良い例:●●高校に合格する!平均点プラス5点を狙う!
  • 悪い例:志望校に合格する!成績が上がる!

地域の課題はどこにあるか、学校のレベルや人気の志望校なども抑える必要があります。これにはそれぞれの学校の定期テストの内容が参考になるでしょう。大手塾なら模試の学校別平均や無料の模擬テストなど実施することもあります。これらのマーケットニーズに教室長の強みを掛け合わせれば、他塾にはないコンセプトになるはずです。

外に目を向けるよりも、まずは内から 

集客目標があると、つい新規入塾者を集めなければと躍起になりがちです。しかしそれではせっかく入塾してくれた生徒の満足度を高めることにつながらないかもしれません。

例えば、目標が30人のところ10人の入塾があったとします。残り20人の新規集客に頭を悩ますよりは、10人が1人ずつでも紹介してくれる方が打率が高いわけです。これまでに体験したこともないようなサービスを受けて心が動かされたときにクチコミが生まれます。

最初が肝心なのです。ここでComiruはうまく活用できそうです。講習などのお知らせは塾生だけではなく、口コミで「講習があるから行ってみない?」とお友達に紹介いただくなど外部拡散にも対応しています。

紹介で集客なんて、そんなうまくいく話があるのかと思うかもしれませんが、多くの業界で口コミマーケティングは欠かせない集客戦略のひとつです。

効果検証と改善のサイクルを忘れずに

チラシをいくら配っても効果がないときは、訴求内容を変えたり、場合によってはコンセプトを変える必要もあるでしょう。年度始め、受験期など、時期に合わせて言葉を変えてもいいかもしれません。

「問い合わせもなく教室で孤独・・・」心が折れないための3つのポイント

さて、教室長として、生徒を迎える準備が整いました。ここからが真の戦いになります。生徒が十分集まるまでの期間心が折れてしまわないように、3つのことをお伝えします。

1.「教室長はかくあるべき」に縛られない

教室長に任命されたプレッシャーは大きいと思いますが、「こうあるべき」に縛られすぎないでください。自分の強みと同時に弱みを知り、フォローしてくれる人を見つけましょう。教室長は単なる役割です。なんでもかんでもできる必要はありません。他の教室でうまくいっていることが、新教室でも同じとは限りません。自分の強みを生かして、既存の殻を破ってもいいと思います。

2.ひとりじゃない!講師の力を借りて教室でバランスを取る

教室長にとって、講師はパートナーです。文系が得意なら理系は講師に任せる、教室の設えはセンスのある若者に任せるなど、適材適所で役割をわけ、教室長は監督の立場で全体を把握していれば大丈夫です。自分の弱みを開示し、「ここは任せてほしいけれど、ここは助けてほしい。責任は取る」といったコミュニケーションが望ましいでしょう。講師は生徒とも歳が近いことも多く、この先頼りになる存在です。

3.先人に学ぶ!教室を飛び出して周囲の教室長の力を借りる

これまで何人も、新規開校に携わった教室長がいるはずです。あなたに取って新しい挑戦でも、近いことを経験している人は案外いるものです。

「新規開校は注目されているから一人で頑張らなくては!」と変に背負い込みすぎることなく、周囲の力を借りてください。このときも、自己開示と情報開示が大切です。助けを待っているのではなく、勇気を持ってSOSを出しましょう。本部の上司だけではなく、横のつながりをどれだけ作れるかは今後の塾運営にも大きく影響します。一緒にチラシを配るなど、共に汗を流す経験もつながりが深まります。

新米教室長のお悩み教室<開校直後期>、いかがでしたか?新米教室長の最初の課題「集客プレッシャー」「孤独」を解消し、生徒数が40人を超えるくらいになってくると、新たな課題が生まれてきます。その代表的なものが、業務効率化やコミュニケーションです。次回以降で解説していきます。

出所:「学習塾・予備校市場に関する調査(2021年)」2021年9月6日発表/矢野経済研究所 注:主に小中高校生を対象に進学・補習を目的とする学習指導サービスを提供する事業者で構成される市場を指し、市場規模は事業者売上高ベースで算出している。