業務効率化ができない塾は退塾者が増える!? ~塾長が自らを事務から解放し、 専念すべき“三本柱”とは?~

個別指導塾を運営する塾長や教室を任された教室長の中には、「忙しい、忙しい」が口癖となり、余裕が全く無い状態で仕事をしている方も見受けられます。 しかし、塾長や教室長は、本来忙しくなってはいけない立場です。 では、塾長や教室長が「忙しくない」状態にするにはどうすれば良いのでしょうか。その答えの一つが、今回テーマとなっている“業務効率化”を推進することです。これからは、業務効率化ができている塾と、できていない塾の二極化がより進んでいきます。そして、前者は人気となって右肩上がりで成長する一方で、後者は経営が非常に厳しくなることが予想されるのです。

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「自分でなくてもできる業務」によって犠牲になるコア業務

塾長や教室長で多忙を極めている方々は、なぜ自身が忙しい状態になってしまっているのか、考えたことがあるでしょうか。もちろん、様々な要因がありますが、大きな理由の一つが、「自分でなくてもできる業務」を抱え込んでしまっていることです。

その最たるものが事務です。例えば個々の生徒ごとに請求書を発行し、一つひとつ折って封筒に詰めて郵送する業務や、保護者への事務的な電話連絡、あるいはコピーなどの業務も塾長や教室長自らが行っており、次から次へと事務に追われる日々を送っている場合もあるでしょう。

こうした事務を他のスタッフに振ることが苦手だったり、人件費を節約するために自分が行ってしまっていたりという方もいると思います。しかし、事務に時間を費やしているばかりに、本来行うべき大切なコア業務を犠牲にしてしまっていることを認識する必要があります。

犠牲にしてはいけないコア業務“三本柱”

①生徒業務:一人ひとりの顔色を見てコミュニケーション

塾長や教室長が決して犠牲にしてはいけないコア業務が、「生徒業務」「保護者対応」「講師管理」の三本柱です。生徒業務とは、通塾してくる生徒一人ひとりの顔色を見たり、会話などのコミュニケーションを図ったりすること。もし調子が悪そうだったり、元気がない生徒がいたりすれば、面談室に連れて行って話をするといったことも含まれます。

そうしてすべての生徒に目をかけることこそが、塾長、教室長でないとできない仕事。事務で忙しくて生徒の顔を見ることができなってしまっては本末転倒です。忙しさとは無縁状態でどっしり構え、生徒一人ひとりを明るく出迎えて、一言二言話をする。これさえできれば、塾長や教室長の生徒に対する仕事の大半は終わりといっても過言ではありません。



②保護者対応:生徒の様子をまめに連絡して共有・把握

もう一つ、塾長や教室長の仕事として重要なのが保護者対応です。例えば、通塾してきた生徒の様子に違和感を覚えた時、すかさず保護者に電話などで連絡して、「元気が無かったようですが、何かありましたか?」と聞いて状況を共有・把握するのです。

この1本の連絡ができるかできないかで保護者の印象は変わってきます。まめに連絡があれば、保護者は「わが子の様子をよく見てくれる、実に面倒見の良い塾」と信頼度が高まり、安心感を得られるわけです。

逆に忙しさを理由に連絡が少なくなると、「しっかり見ていないのでは」と、保護者に疑念や不安が生じることになります。それがクレームのきっかけになることもあります。塾長や教室長が多忙になると、保護者対応が疎かになり、クレームが増えて、その対応でさらに忙しくなり、コア業務に手が回らなくなる。こうした負のループが始まってしまうと塾運営は危機的な状況になり、退塾者に歯止めがかからなくなる事態も考えられます。

とにかく、クレームが起こらないように塾長や教室長の方から連絡をして先手を打つことが肝心です。クレーム対応ほど無駄な時間はなく、最小化することが忙しさの根源を断つ大きなポイントにもなります。

③学生講師管理:講師が生き生きと働けるようにマネージメント

そして、塾長や教室長の3番目のコア業務が学生講師管理です。講師は塾の運営を左右する最も重要な”商品“であり、講師が生き生きと働くことによって、生徒は授業を受けるのが楽しくなり、モチベーションが高まることにもつながるからです。

学生講師のマネージメントのコツは、生徒への対応と同様で、塾長や教室長がコミュニケーションの頻度を高くすることが重要。担当生徒の情報を共有し、どうやって成績を高めていくかを議論する機会を多く持つことが非常に大切です。逆に、コミュニケーションが希薄になると、講師はやりがいを失い、塾全体の活気が無くなる原因になるリスクもあります。


事務を人に振るか、システムにゆだねるか

Comiruを使えば請求書業務は5分の1に削減可能

では、塾長や教室長は、どのように自らを事務から解放し、三本柱に集中すれば良いのでしょうか。方法の一つは、アルバイトをしている学生講師に仕事として振ることです。学生の中にはよりアルバイト代を稼ぎたい人もいます。講師を務める授業の1~2時間前などに来るように依頼し、請求書業務などの事務を代行してもらうのです。

そして、もう一つの方法が、業務効率化を図れる「Comiru(コミル)」などのシステムを導入することです。例えば請求書業務は、Comiruを導入することで大幅な改善を図れます。導入前は、生徒の受講コースに応じて一人ひとりの金額を算出し、印刷した紙の請求書を折って封筒に入れ、切手を貼って投函する作業が必要でした。70~80人の生徒が通う塾であれば、その作業だけでも4~5時間はかかります。

それが、Comiru導入後は、システムのボタン一つで保護者のスマートフォン(スマホ)に請求書が送信されるようになります。確認しながら送信する作業を行っても1時間以内で終わります。作業時間が実に5分の1に短縮され、もちろん、人件費、郵便代、印刷代の圧縮も可能になります。


Comiruの一斉配信で確実性が増し、手間は激減

また、Comiruを使うことで便利なのが、夏期講習などのお知らせを保護者のスマホに一斉配信できる機能です。以前、プリントに印刷して配布していた時は、請求書の封筒に一緒に入れて郵送していたため、保護者が見るまでにタイムラグが発生し、中身を読まれないケースもありました。結局、電話をして案内する羽目になり、二度手間、三度手間になっていたのです。

お知らせを携帯電話のメールアドレスに送信する仕組みに切り替えた塾もあるかと思いますが、キャリアの設定によっては迷惑メールに振り分けられてしまう他、通信障害で届かなかったり、遅延したりする事態も生じていました。

その点、Comiruではお知らせをスマホのLINEや専用アプリに一括して通知することが可能です。任意の学年だけ、あるいは中学生、高校生だけに送信するなど、送信先の細かい設定もできます。お知らせの伝達の確実性が増すと同時に、手間の大幅な軽減も実現するのです。


Comiru導入後は保護者からの電話が半減

お知らせをLINEや専用アプリへのプッシュ通知に変えて、保護者からの電話が半減しました。お知らせをプリントによる配布や携帯電話のメールアドレスに送信していた時代は、問い合わせの電話が多く、対応の忙殺される場面も少なくありませんでした。

ところが、Comiruを導入すると、LINEや専用アプリでコメントをやり取りできるため、1日に掛かってくる電話が半数以下に減り、それどころか電話が鳴らない日もあるなど、事務所の風景を一変させる効果があります。

ただし、劇的に少なくなったからと言って、電話が不要になるわけではありません。保護者の声を聞いたり、深い相談をしたりする際には、電話というアナログのツールが不可欠です。日常的なお知らせはシステムで効率的に行い、保護者とマンツーマンで深いコミュニケーションを図るのに電話を使うという、デジタルとアナログの両刀使いが重要であると言えるでしょう。

効率化する上で注意が必要なポイント

学習アプリの見せっ放しは避け、フォローが不可欠

近頃は、生徒の学習に効果的な学習アプリが数多く出回り、活用する塾も増えています。ですが、気を付けなければならないのは、こうした学習アプリを「業務効率化」のために使ってはならないということです。

塾によっては「楽ができる」という理由で、学習アプリを単に見せるだけで放置し、何もフォローしないケースもあるようです。こうして学習を管理せずにただ見せっ放しにする方法は失敗すると考えて良いでしょう。生徒が何を理解して何が分からないかを把握できないため、学習効果が見えず、生徒自身のモチベーションも上がらないからです。

必要なのは、見終わった後に、何をどこまで見たか、見てどうだったか、分からない点は無かったかを、講師が質問して進捗度合いを把握して管理することです。

偏差値の低い生徒は、ただ漫然と見るだけで自分がどこを理解していないかを見出すことがやや困難なため、学習アプリの使用は控えた方が良いかもしれません。

学習アプリを活用は何が分からなかったかを言語化し、具体的に質問する力がある偏差値が高い生徒に限った方が無難です。

生徒にアナログのお知らせを渡す意味

お知らせはComiruなどツールを使ってデジタルに一斉配信することが業務効率化のポイントになると述べましたが、生徒向けには、勉強会や講習に関してアナログにプリントとして渡すことが効果的な場合もあります。ツールによって保護者には勉強会などの案内が届く一方で、生徒が知らないという事態が起こるからです。

塾長自らが、生徒に案内を紙で手渡しすることで、勉強会があることを生徒に意識づけることが可能になります。渡す時にひと声かけるなどコミュニケーションを図ることもできます。ここでもアナログなツールを完全には排除せず、必要に応じて併用することがポイントとなります。

塾長や教室長は授業を持つことを避けるべきか?

塾によっては、塾長や教室長、あるいは社員が授業を持って、講師として登壇しているケースもあると思います。しかし、個別指導塾の運営側に回るべきこれらのキーマンの方々が、授業を持つことは、基本的には回避すべきという考え方もあります。

もちろん、そうしたキーマンによる授業が、塾の売りになっている場合は別です。ですが、学生講師が確保できないがために、社員や塾長が仕方なく授業を持っているのであれば、何とか講師を補充して改善を図るべきでしょう。キーマンの仕事は授業を行うことではなく、前述の三本柱に集中することによって、塾の運営を円滑にするのがメイン業務だからです。