「塾のデジタル化やDX化を進めたいけど不安…」という方も多いのではないでしょうか。他塾の成功事例を聞いても「本当に?」と眉唾に感じてしまうこともありますよね。知りたいのは、綺麗に整えられた成功談より、失敗やトラブルも含めたリアルな話。他人の失敗から学び、生かしていくのが成功への近道だったりするものです! とはいえ、なかなか失敗経験を赤裸々に共有くださる塾経営者もいないのが現実。そんな中「我こそは!」と名乗りを挙げてくださったのが長野県で5教室7部門を経営する八木塾の八木俊貴氏です。数々の失敗からの教訓を得て、ついに掴んだDX化成功までのリアルストーリーを伺いました。
八木塾:長野県で5教室7部門を運営。生徒数は、小中高生から浪人生まで約350名。新規生徒の90%が保護者紹介という高い顧客満足度を誇り、激戦区の市街地で大手塾と対等に渡り合っている。コロナ禍でも新規教室・部門の開設を実現し、頭角を現している。
失敗は成功の母!八木塾のDX化失敗の歴史と教訓とは
八木塾 塾長 八木俊貴氏
八木塾は、今でこそComiruを導入しDX化を順調に進展させていますが、ここに至るまでは数々の失敗を経験しました。まさに黒歴史ですね。でも「黒歴史」と笑って振り返られるということは、失敗の経験から学び、成功に繋げられたからこそ。どんな塾でも起こりうるであろう3つの失敗経験をご紹介しますので、ぜひお役立てください。
失敗1:導入後のサポート体制が一切なく運用に乗らず
1つ目の失敗は、コストをかけて導入したシステムを結局活用しきれず、半年で頓挫してしまったことです。システム導入を決意したのは、生徒数が80人を超えたあたりで自分1人では生徒対応も保護者対応もまわらなくなってきたことがきっかけでした。社員を採用して何とかまわしていたものの、生徒数が100人を超えると再び十分な対応ができない状態に。システム導入による業務効率化に踏み切りました。
採用したのは、社員が見つけてきた生徒管理システムやグループウェアでしたが、いずれも結局使えずじまいでしたね・・・。というのも、採用後の導入サポートが一切なかったんです。システムを入れたら、あとはそちらで運用していってくださいというスタンスですね。ただでさえ忙しい塾業務の中で、システムの使い方や機能を覚えたり、講師や生徒、保護者に使い方を説明したり、業務フローに組み込んだりとプラスの時間を割くことは無理ゲーでした。システムを入れたものの、運用に載せることができないまま頓挫してしまいました。
<失敗からの教訓>
- システムを選ぶ際は、機能や価格だけでなく、導入・運用サポートがしっかりしているかも見極める!
失敗2:社員に任せきりにしてしまった
上でもご紹介した生徒管理システムやグループウェアは、システムのリサーチから採用、導入までを社員に任せきりにしてしまっていました。システム導入という経営マターなのに、私のコミットが不十分だった。これも運用フェーズに乗らなかった大きな失敗要因だったと思います。
新しいシステムを入れるのは、業務フローも変わるため、反発も起きやすいものですよね。だからこそ「これは経営の意思決定だ」と経営者がコミットして推進力を高めることが必要。しかし、それを怠ってしまったため、結果としてシステム活用への社内の優先順位もあがらず、業務フロー改革に失敗してしまいました。
<失敗からの教訓>
- システム導入は経営判断。経営者がコミットして、推進していくことが大切!
失敗3:塾のメリットはあっても保護者にメリットがなかった
パッケージシステムだけでなく、自塾用に個別開発してもらったシステムでも失敗しました。開発をお願いしたのは、塾からの「一斉メール配信システム」と「講師の勤怠管理システム」。トータルで600万ほどかけましたが、失敗に終わりましたね、はい……。
一斉メール配信システムについては「請求や塾からのお知らせを効率的に送りたい」と社内からの要望も強かったため開発したのですが、とにかく保護者から不評で。「塾に限らず色々なところからメールが届くので見落としてしまう」との声が多かったですね。挙げ句の果てには「以前のように紙でもらってたほうがよかった」とまで言われる始末……。塾側としても、まとめて送付できるのは便利だったものの、既読か未読かがわからず結局個別に確認が必要なケースもあり、業務効率化までには至りませんでした。
また、塾からの連絡ツールが多すぎて保護者が混乱するケースも多かったですね。開発した一斉メール配信システムに八木塾のLINE公式、各教室のLINE公式、個別メール、電話・・・ものすごいツール数でした。
講師の勤怠管理システムも、安さ重視で作ったため、使い勝手が悪いうえに都度発生する改修コストもバカにならないという結果に。システムだけでは業務を完結させられず、紙や他のシステムも併用するため、逆に工数が増えるという本末転倒な事態にまで陥りました。
今振り返ってみると、これらの失敗の根本原因は、保護者のメリットを考えないまま、塾側が自分たちの理屈での効率化だけを考えたことにあると思います。それは即ち、目的を明確にしないまま部分最適に走ってしまったと言えるでしょう。全体像を描き、目的を明確化する。経営者としてのコミットがここでも足りなかったと言わざるを得ないかもしれません。
<失敗からの教訓>
- システム化の目的と全体像を描かずに、部分最適でできることから進めるのはNG!
- 生徒・保護者のメリットを考えないままのシステム化は逆効果!
失敗4:ニーズがないのに導入したデジタルコンテンツ
時流に乗らねばと導入した映像授業やオンライン指導などのデジタルコンテンツも軒並み失敗しました。というのも、そもそも生徒や保護者のニーズがそこまで高くなかったんです。当塾は教科指導だけでなく、対面でのコーチングやモチベートにも高い評価をいただいているため、コロナ禍の真っ只中でも対面指導の希望が高かったんです。
にもかかわらず、時流に乗ろうと中途半端にデジタルコンテンツを導入してしまったため、失敗に終わりました。ニーズをつかまず、導入ありきで中途半端に進めてしまったので、当然の結果と言えるかもしれません。もちろん、中にはデジタルコンテンツのニーズが高く、生徒層から考えても親和性が高い塾もあると思いますが、当塾はそうではなかったというわけです。生徒や保護者のインサイトをつかむことが欠落していました。
<失敗からの教訓>
- 導入ありきNG!生徒・保護者のニーズがなければ、どんないいものでも失敗に終わる
ここまで八木塾のデジタル化失敗談を包み隠さずお伝えしました。「同じような経験がある」と膝を打ったり、「うちの塾でも似たような事態に陥りそう」と顔が青くなったりした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
失敗談を知って、デジタル化を進めることに二の足を踏んでしまいそうになっている方もご安心ください。【vol.2】では失敗経験を生かして、ついにデジタル化を進展させることに成功したComiru導入の裏側を包み隠さずお伝えしてまいります。