塾・スクールの集客力を高める情報発信のすすめ

監修いただいた先生

なぜ今、塾・スクールに「発信力」が必要なのか?

今の時代、塾選びの基準は「合格実績」だけではありません。SNSや口コミ、ホームページなどを通じて、「どんな人が運営しているのか」「どんな想いで子どもたちと向き合っているのか」といったストーリーに保護者や生徒たちは目を向けています。

特に小規模な学習塾・スクールでは、大手のような広告予算がなくても、発信力に集客力を高めることが可能です。逆に言えば、「何も発信していない塾」は、存在そのものが知られず、比較対象にもならないことも……。

だからこそ、日々の出来事や考え、想いを“言葉にして伝える”ことが、今とても大切になっています。ライティングは、単なる文章作成ではなく、塾の価値を届けるための強力な手段。今日はその第一歩を一緒に踏み出しましょう。

まずは「うちの塾らしさ」を言語化しよう

まず最初に、みなさんの学習塾・スクールが大切にしていることや他塾と違うところをしっかりと洗い出し、言葉にすることが大切です。学習塾のブランドは、ただの実績や偏差値ではなく、そこに込められた「想い」や「人」の力によって作られます。みなさんの塾がどんな理念を持ち、どんな子どもたちを育てたいのか、そのビジョンを言葉にしていきましょう。

「子ども一人ひとりに寄り添った学びを提供する」「未来に必要な力を育む」のような抽象度の高い、耳触りの良い言葉をよく見かけますが、このような表現では「実際どうなのか」「どんな授業なのか」が伝わらず、他塾との差別化ができません。

理念を掲げるのは良いのですが、それ止まりにしては危険です。具体的に何ができるようにするのかを落とし込んで言語化しましょう。例えば、「平均点以下から平均点プラス10点を実現します」などのメッセージが有効です。

情報発信を始める前に、「うちの塾は、どんな場所でありたいか?」を自分の中で言語化しておくことが大切です。これがいわば“ブランドの軸”になります。

ブランドの軸をつくるステップ

  • 教育理念:どんな想いで子どもたちと向き合っているか?
  • 対象とする子ども像:「算数は得意だが国語が苦手」「◯◯高校志望」など明確に
  • 強みの棚卸し:小規模ならではの面倒見、特定教科への強さなど

読み手の心を動かす「ストーリーの型」

次に大切なのは、発信する際にストーリーを意識することです。人はデータや数字だけでなく、感情に訴えるストーリーに心を動かされます。特に学習塾・スクールの場合、子どもたちの成長や成功事例をストーリーとして伝えることで、保護者の共感を得やすくなります。

誰に伝えたいか。ペルソナの設定

ストーリーを作る前に、「誰の心に届けたいのか」を明確にしておくことがポイントです。いわゆる、ペルソナの設定です。どんな保護者が自分たちの塾に通わせたいと考えているのか、どんなニーズや不安を抱えているのか、ペルソナを設定することで、「どんな言葉が響くか」を具体的にイメージできるようになります。

参考記事:個人の小さな塾の開業に必要な3つのポイントとは?
参考記事:大手塾経営経験者が語る中小塾にしかできない“下剋上”戦略とは

基本のストーリーの型

  1. Before:生徒がどんな状況でスタートしたのか(苦手科目や困っている状況)
  2. 出会い・気づき:その生徒が塾に通い始めてどのような変化があったのか
  3. After:最終的にどんな成果を上げたのか(成績アップや自信がついた等)

例えば、「数学が苦手でいつも不安だったAくんが、個別のサポートで少しずつ理解を深め、自信を持てるようになった」「2年生の2学期の定期テストで30点だった生徒が学年で10位になった」など、エピソードは具体的であればあるほど、保護者にも強い印象を与えます。実際に起きた「変化」に焦点を当てるのがポイントです。

参考記事:塾の運営方針を内外に伝える必要性とその方法

保護者に響く言葉選びのコツ

保護者に向けたメッセージでは、言葉選びが非常に重要です。伝えたい内容があっても、言葉が堅苦しくては、心に届きません。そこで、柔らかく、親しみやすい言葉を使うことで、より多くの保護者に共感してもらうことができます。

学習塾・スクールから発信する言葉は、例えば、以下のように言い換えをしてみましょう。

「保護者様」→「保護者のみなさま」
「生徒」→「子どもたち」
「ご利用ください」→「よろしければ使ってみてください」「お気軽にどうぞ」

これらの言葉の違いは、柔らかさや親しみを感じさせ、保護者との距離を縮める効果があります。また、文章の最初に挨拶を入れることで、よりフレンドリーな印象を与えることができます。

例えば、ブログの冒頭に「こんにちは!今日は○○についてお話ししますね。」という風に親しみやすく始めると、読者が温かい気持ちで読んでくれます。

さらに“読ませたい!”という時は、タイトルや書き出しでインパクトを加えるという方法も。

例:タイトル「衝撃!●●中学校のテストの傾向!」書き出し「こんにちは!もうすぐ定期テストですね。今日は●●中学校のテストの傾向について少しご紹介したいと思います。」

今日から使える!発信ネタのアイデア10選

塾の発信内容に困った時、まずは具体的なネタを活用してみましょう。「今日の教室で印象に残ったこと」「気づきを与えてくれた生徒の言動」など、小さなことでもOK。気づいた時にサッとメモしておく習慣をつけると、自然とネタが集まってきますよ。

以下のような発信ネタは、多くの保護者にとって関心が高く、共感されやすいテーマです。

  1. 開校ストーリー:なぜこの塾を始めたのか、その経緯を紹介

  2. 講師紹介:講師の想いや得意分野、どんな教育を提供しているかを紹介

  3. 生徒の成長エピソード:実際に成果を上げた生徒のストーリー

  4. 保護者の悩みに答える:よくある質問や不安に対してアドバイスをする

  5. 授業の風景:教室での様子や生徒とのやり取りを写真とともに紹介

  6. 学習に関するお役立ち情報:勉強法や学習のコツをシェア

  7. イベント紹介:特別授業や季節ごとのイベントなどを告知

  8. 最新のカリキュラム紹介:塾での新しい取り組みや変更点を紹介

  9. 生徒の「やる気が出た」瞬間:モチベーションが上がった事例

  10. 日常の風景:教室の日常的な出来事や講師とのコミュニケーション

これらのネタをブログ、SNS、チラシなどで適宜活用することで、コンテンツを充実させることができます。

参考記事:<5つのリアル実例公開>ヒーローズ式保護者コミュニケーションの極意

発信を続ける仕組みづくり

発信を続けるためには、いくつかの仕組みを作っておくとスムーズです。毎月何本の投稿をするか、どこに発信するかをあらかじめ決めておくと、何を発信すべきか悩む時間を減らせます。

例えば、SNSの投稿を毎週1回、ブログを月に2回更新する、など目標を設定します。さらに、ネタ帳をスマホで作成し、日々感じたことや思いついたアイデアをメモしておくと、すぐに次のネタに困ることはありません。また、他のスタッフと役割分担をすることで、発信の負担を減らすこともできます。

おわりに

「ライティング」を通じて、塾の魅力や想いを発信することは、塾の信頼感を高める重要な手段です。最初はうまくいかないこともありますが、「伝えたい気持ち」がしっかりと伝われば、読者に共感され、信頼される塾づくりが進んでいきます。

ただし、ただ「何か伝えたい」では逆効果です。それぞれのメッセージに「誰に」「何を」伝えるのか、それによって「どのような意識・行動変容を生みたいのか」というコンセプトをしっかり決めて、よく推敲してから発信しましょう。また、発信したら終わりではなく、ログなどで効果を振り返り、あまり読まれなかった場合はコンセプトや伝え方を変えるなどして改善していきましょう。トライアンドエラーを繰り返すことで、集客力を高める強いコンテンツに成長します。

小さな一歩から、あなたの塾の未来を大きく変える可能性を秘めています。始めてみましょう!