学習塾のIT化が必要な5つの理由【前編】

学習塾はIT化が待ったなし――。最近、よく耳にするフレーズです。しかし、中小の塾や個人塾ではまだITシステムの導入に踏み切れていないところも少なくないでしょう。ITシステムを導入しないのは、”なぜ導入しなければならないのか”その利点が今一つ見えていないからではないでしょうか。今回は、学習塾がなぜIT化を図らなければならないのか、大きく5つの理由を解説し、導入するとしたらどのようなシステムが良いのかを、前編、後編の2回に分けて紹介していきます。

監修いただいた先生

学習塾では日々の仕事の中に、生徒に教えること以外に保護者とのコミュニケーションや指導報告書の作成、授業料の請求など、運営に必要な様々な業務があります。先生方がこうした業務に忙殺されているという塾も多いのではないでしょうか。

休校や授業の変更の連絡を先生が電話で行っている場合、一軒一軒連絡することは膨大な時間と労力を費やします。つながらず、何度も電話をしなければならないこともあるでしょう。また、一度に大量の連絡を行う場合、気持ちが焦り対応漏れが出る可能性も高まります。

一般的に人が手動で行うよりも、システムを用いることは「同じことをルール通り繰り返し、抜けもれなく実行できる」「作業時間を短縮できる」「データが貯まる」などのメリットがあります。人はどれだけ気をつけていてもミスをしますし、作業量が増えれば対応時間もそれだけ増えます。疲労もたまりますし、記憶力にも限界があります。

そのため、人のミスが起こりやすい箇所にシステムを用いることで、ミスを減らすと同時に時間の確保が見込めます。今回は空いた時間をどう使うのか、更にシステムを導入し、IT化することで見込まれるメリットについて紹介します。

 

IT化のメリット① 保護者連絡の作業時間が減って“コア業務”に集中できる


前述の通り、保護者への一斉連絡や請求書の処理など同じことを複数回行うという作業はシステムの方が長けています。ミスが減ると同時に時間を浮かせることができます。

重要な連絡事項を生徒にプリントで配布しても、保護者の手に渡らず、個別に電話をするケースもあるでしょう。

それが、システムを導入すると格段に効率化されます。Comiruのようにシステムを使うことで、アプリやLINEで保護者のスマホに一斉かつ直接伝達し、保護者の既読・未読の確認も可能になります。結果、未読の保護者のみに電話対応するなど、大幅な作業の削減が可能になります。

その他、通常なら時間のかかる指導報告書も、Comiruであれば一括編集やテンプレート機能を使って、従来の10分の1の時間で作成可能です。請求書もまとめて一括編集して送信したり、未収者にはLINEやアプリに直接メッセージを送付し、回収率を高めることもできます。こうして様々な作業を圧倒的に減らすことができるのが、IT化の大きなメリットです。

大切なのは、作業の効率化によって生まれた時間を、コア業務である生徒・保護者対応に充てられるようになることです。授業の準備に時間を掛けたり、生徒一人ひとりと向き合ってモチベーションを高めたり、あるいは、保護者の悩み相談に丁寧に対応するなど、自分が本当に力を入れたいことに、多くの時間を割けるようになります。IT化の真のメリットは、業務効率化という目先の課題解決にとどまらず、その先にあるコア業務への集中を可能にすることにあるのです。

IT化のメリット② データが貯まるので“赤信号”の見える化ができる


IT化によって享受できる2つ目のメリットは、データが蓄積されることによって様々な分析ができるようになり、今までの“感覚”に頼っていた管理から、“計数”を用いた管理に、塾の運営を進化させることが可能になることです。

どういうことなのか、説明しましょう。仮に、通塾するA中学の生徒の定期テストの結果を長期にわたりデータとして蓄積したとします。すると、あらゆる分析が可能になります。例えば、A中学では、中間テストに比べて期末テストの点数が20点以上下がると退塾する傾向が高くなる、といったことです。

あるいは、B中学では15点下がるとその後退塾する傾向があり、一方、C中学は期末テストの方が格段に難しく40点下がっても退塾しない、などの分析ができるようになります。つまり、中学別に退塾のデッドラインが数値で分かるようになり、“赤信号”となった生徒とは、コミュニケーションを密に図るなどフォローすることで、退塾を防ぐことできます。

退塾の赤信号を察知することは熟練した先生であればできるかもしれません。しかし、経験の浅い先生では難しいでしょう。また、全ての生徒に等しく手厚くフォローすることは困難なのが現実です。データによって計数的な管理ができれば、新人の先生でも「どの生徒が退塾しそうか」が分かり、そうした赤信号の生徒だけを重点的にフォローすることが可能になるのです。

IT化のメリット③ データが貯まるからこそ生徒のモチベーションにつながる合格への軌跡を提示できる


長期間、蓄積されたデータは、通塾する生徒のモチベーションアップや勉強時間の管理にも活用できます。例えば、ある生徒が入りたい高校に以前に合格した生徒の定期テストの点数や、時期による勉強時間のデータがシステムに保存されていたとします。

「この高校に受かるためには、現時点でどれくらいの点数を取って、毎日どれほどの勉強時間が必要か」と生徒に聞かれた場合、もしデータが無ければ、「以前合格した生徒は、確か、2年の2学期の期末テストが5教科でだいたい400点くらいで、勉強時間は1日に3時間くらいだったかな」と曖昧な答えしかできません。生徒一人ひとりに丁寧に対応している小規模な個別指導塾の先生でも、正確に記憶することは難しいでしょう。

しかし、データがあれば「期末テストは420点、勉強時間は毎日平均4.5時間」と、グラフなどを示しながら、明確に答えることができます。さらに、2年の3学期、3年の1学期とデータを提示し、どのような経過をたどれば合格できるか、いわば「合格までの軌跡」を見せることで、生徒に勉強の動機付けをして、「1日4.5時間勉強する」といった具体的な行動を促すことが可能になるわけです。

大切なのは、ITシステムによって、こうしたデータが長期にわたり一元管理できるようになることです。先生が個別にExcelなどで管理している場合もあるでしょうが、それでは全ての生徒のデータを統合して分析することができません。その先生が辞めてしまった場合、データを引き継ぐことが困難になる可能性もあります。

学習塾がIT化をする必要がある理由の残り2つと、具体的にどのようなITシステムを導入すれば良いのかは、【後編】で解説します。

※LINEは、LINE株式会社の商標または登録商標です。