選ばれる個人塾になるための下剋上戦略【後編】 ~ 敵は己にあり、40代を過ぎたら日々精進~

前編では、個人塾にできて、大手の塾にはできないことに焦点を当てて、行うべき有効な施策をいくつか挙げてみました。後編では、逆に、大手が行っている効果的な施策を真似ることによって、さらにパワーアップする方向性も提示します。そして、個人塾を続けていくうえで、最も注意しなければならない点にも、話を進めてみましょう。

監修いただいた先生

保護者会をやれば鬼に金棒

前編では、大手ができないことに着目して有効な施策を取り上げましたが、逆に大手が行っていることで、取り入れるべき施策もあります。その代表的なものが「保護者会」です。個人塾では、「自塾は人数が少ないから」「提供できるデータが少ないから」といった理由で、行わないところもあるかもしれません。

しかし、保護者会には多くの利点があります。まず、一度の説明で全ての保護者に必要事項を伝達できることです。高校入試、大学入試の仕組みや偏差値表の見方、志望校選びのポイントなどは、相手が誰であろうと説明が変わらない共通事項です。それを個別面談で毎回説明するのは、極めて非効率です。

事前に保護者会で説明済みであれば、個別面談では頭から個々の事情についての話し合いに入ることができます。以前、自分の子供が大手に通っていたことがある保護者も、大手と同じように保護者会があれば、安心するでしょう。たとえ、少人数の出席しか見込まれなくても、保護者会はやるべきです。

保護者会の様子をスマートフォンで撮影して、自塾のウェブサイトから通塾する家庭向けにアーカイブとして配信することも効果的です。出席できなかった保護者や、もう一度内容を見直したい保護者が、いつでも好きな時に視聴することができます。こうして、個人塾ならではの強みを磨きつつ、大手が行っている有効な施策を取り入れれば、まさに鬼に金棒。最強の個人塾を作ることができるというわけです。 

個人塾経営者の敵は意外にも“老化” ~学びを続けることが重要~

最後に、もう一つ、選ばれる個人塾であり続けるために必要なことに言及しましょう。それは、塾長自身が自分磨きを怠らないことです。塾というのは、毎年ある程度ルーティーンが決まっていて、気を抜くと、同じ仕事を惰性で繰り返してしまうこともある仕事です。惰性で仕事をしても、翌月からすぐにガクンと売上が下がるビジネスモデルではないため、油断をすると惰性に陥りやすい環境であるとも言えます。

個人塾の塾長ですから、上司の目はなく、その気になればいくらでも手を抜けます。さらに問題であるのが老化です。20代、30代は体力的にも精神的にも満たされ、どんなに働いても疲れを知らず、突き進むことができます。しかし、40代以降はピークアウトし、誰しも年々パフォーマンスが落ち、下降の一途を辿ることになりかねません。放っておけば、徐々に自分自身が廃れていってしまうのです。


だからこそ、老化に対抗する手段が必要です。それが、学び続ける姿勢と結果としての自己成長なのです。どんなことでも構いません。英会話を勉強してネイティブ並みに話せるようになること、あるいは最新のビジネス事情に精通して、生徒からどんな質問を受けても答えられるようにしておくこと。それこそ、中学生、高校生の話題についていけるように、流行りのアニメやドラマを徹底的に見倒すことも自分磨きの一つでしょう。自分のメンターを見つけたり、セミナーに積極的に参加して他塾の先生と情報共有や交流を行ったりするのも手です。

誰からも注意されないからといって、裸の王様になってしまうことだけは避けなければなりません。「あぐらを掻いたら終わり」と肝に銘じ、日々精進することこそが、塾長にとって最も重要な心掛けと言えるでしょう。