長く通い続けてもらう、生徒と保護者の心をつかむ塾通信の作り方

塾から既存塾生への情報発信、どうしていますか?お便りを紙で渡しているが、毎月の予定表や生徒の成績報告で手一杯だなんてことはありませんか?塾からの情報発信は、その内容や頻度によって、生徒や保護者の満足度向上、退塾防止に直接関わるとても重要な経営戦略の一つです。今回は塾からの情報発信手段の1つである「塾通信」の必要性、効果的なコンテンツについて事例も交えてご紹介します。

監修いただいた先生


長く通い続けてもらう、生徒と保護者の心をつかむ塾通信の作り方

塾から既存塾生への情報発信、どうしていますか?お便りを紙で渡しているが、毎月の予定表や生徒の成績報告で手一杯だなんてことはありませんか?塾からの情報発信は、その内容や頻度によって、生徒や保護者の満足度向上、退塾防止に直接関わるとても重要な経営戦略の一つです。今回は塾からの情報発信手段の1つである「塾通信」の必要性、効果的なコンテンツについて事例も交えてご紹介します。

塾通信の目的と目標は何か?

塾通信の目的は「情報宣伝・啓蒙」生徒や保護者にとって有益な情報を発信することで自塾の価値を伝えることです。塾が伝えたいことを、きちんと読み物にして発信することに意味があり、ちゃんと読んでもらう工夫も大切になります。

では、その目的の中で、目標指標をどこにおくべきでしょうか。誤解を恐れずにいうと「継続率」と「退塾率」にすべきです。自塾の価値を理解していただくことができれば、長く通塾する意思が生まれ、継続率向上にも寄与するという考え方からきています。長く通う生徒さんは成績が良く志望校に合格する傾向がありますよね?もちろん、塾通信だけの成果ではないですが、塾通信を始めてから継続率が劇的に長くなったケースもあるほどです。 

塾通信のターゲットは生徒と保護者の両方

この点は考え方がたくさんあると思いますが、塾通信の想定ターゲットは生徒本人と保護者です。おすすめの内容については後述しますが、塾の考え方やトレンドについては生徒だけでなく保護者にも知ってもらうべきでしょう。その上ではじめて「継続率」と「退塾率」の改善が見込まれるはずです。

例えば、テキストの追加購入の案内や講習料金の案内など、お金に関わることは生徒に見えないように保護者に案内している方も多いと思います。しかし授業料、講習費用、入試費用などお金の話は生徒も知っておくべきだと考えます。金額を知ることで、「このぐらいの金額をかけてもらっている分、頑張らなくちゃ」と生徒が奮起することもあるからです。

塾から発信するべき有益情報

先程、重要な点は、顧客にとって有益な情報を発信することとお話しましたが、具体的に、例えばどのようなものが有益情報になるかという具体例をご紹介します。

大学や社会人で活躍する卒塾生紹介

1つ目は、同じようにがんばって勉強していた先輩たちが、どのような試行錯誤をし、どんな課題にぶつかり、その後どんな成功をおさめたのかを紹介することです。これまで勉強を頑張っていたのに、やはり受験を区切りに塾を辞めてしまう生徒が多いのも事実です。その理由として、頑張って勉強する理由を見失ってしまったり、頑張った先に何があるのかをイメージできなくなっている可能性があります。そのため、先輩の事例を見てもらうことで、未来の自分をイメージしてもらうのです。どういった目標を持って、いつどんな勉強をしたのか、その時どんな成績で、今はどんな高校・大学生活を送っているのか。

更にその先社会にでてどんな活躍をしているのかといった先輩の活躍が伝われば、生徒は未来の自分の青写真を描くことができるわけです。特に同じ志望校、同じ部活、つきたい職業についている先輩など自分と重なる部分のある先輩の事例は特に生徒に響きます。また、ロールモデルを見せることは生徒だけでなく、保護者に塾に通わせる意味を再確認していただくことにも役立ちます。「続けてくださいね」と働きかけずとも、「うちの子もあんな風になってくれたらいいな」と実例で説得されるわけです。

合格者の保護者インタビュー

保護者へのインタビューを掲載することも有効です。受験するのは本人とはいえど、お金の用意をするのは保護者である上に、精神的なプレッシャーを受けるのは保護者も同様か、自分ではどうしようもできないことを考えるとある意味生徒以上かもしれません。そのような保護者に対し、先輩保護者が受験前にどんな心境でどんな事を考えていたか、合格後もどうして塾を続けさせようと思ったかというような内容を紹介できるとよいでしょう。

教師紹介・校舎紹介

こちらは主に塾で授業を受けるわけではない保護者向けの情報ですが、普段どんな先生に教わっているんだろう?他にはどんな先生がいるのかな、と中が見えない保護者からは気になるものです。生徒にとっても、講師のプライベートや趣味などがわかれば、よりコミュニケーションが円滑になるので、講師の人となりは是非紹介してみてください。同様に、保護者が普段立ち入らない校舎の中や、近隣の校舎等を紹介することで、生徒と保護者の会話のきっかけにもなるのではないでしょうか。

推薦図書の紹介

生徒や保護者向けの書籍紹介です。生徒向けのものとしては、参考書等の類ではなく、例えば社会で活躍する起業家や著名人の書籍や、学ぶ意味を考えられるような書籍を紹介するようにしていました。保護者には子育てや教育論等、直接本人に言うと伝わりづらいけれども、第三者である書籍を通じて考え方を理解してもらうことができる方法となります。

入試情報・重大ニュース解説  

発信するべき情報の中には、最新の入試情報や塾の具体的な取り組みも含みます。入試の仕組みや定員数の変化といった最新情報は即時性を持って伝えるべきです。保護者が知りたい学費や進学実績の比較などもいいでしょう。この塾は常に最新情報を届けてくれる、と思ってもらい、塾への信頼を高めるチャンスです。保護者が知らないことや、自分の体験など過去の常識にとらわれたままのことは意外と多いものです。

プチ問題・授業  

例えば、とある社会問題を英語で論ぜよ、というような入試問題を塾通信内で出してみます。様々な効果を狙っているのですが、親子での会話が生まれ、もしかすると保護者が自分たちの経験した英作文と、今受験で求められている英作文が違うということを理解できるかもしれません。こんな風に変化しているなら、いろいろな講座が必要だな、と実感してもらう意味でもおすすめです。さらにそれにわかりやすい解説を加えれば、こんな風にわかりやすく教えてもらっているという信頼や期待を獲得することができます。

実績データ 

最後にご紹介するのが、数字でメッセージを伝えることです。例えば塾生の◯◯大学合格者の平均通塾年数、勉強時間、講習取得数、合格率等が生々しい数値で出ていたとします。それを見た生徒や保護者は「このままじゃまずい!もっと頑張ろう!」という危機感を抱くはずです。この数値が物言わぬトークとなり継続率や退塾防止に響いてくるのです。

塾通信をどうやって届けていくか

数十年前の塾通信といえば紙に印刷して、生徒に渡し保護者にも渡るのが一般的でした。しかし、その後デジタルも主流になってきたことから、紙と合わせて自社のwebサイトに記載したり、メールで送ったりということも増えて来たように思います。おすすめするのは、紙の良さもあるので紙は紙で残しつつ、Comiruを通じて保護者や生徒に直接届けることです。届いたかどうかがわからず、最近ではあまり開かない人も多いメールではなく、塾専用のコミュニケーションツールを通じて直接届けることがスピードも確実性としても良いのではないでしょうか。

塾通信の頻度はどれくらいが適切?

できれば毎月をおすすめします。ただし人手やお金がかかるのも事実ですので、最低限春秋冬の4回は発行したいところです。特に中3→高1への継続を意識し始めるタイミングや講習の前等の節目節目では、しっかりと塾からのメッセージを伝えることを心がけてほしいと思います。

しっかりと読んでもらい、「伝わるため」のテクニック

ここまで内容について紹介してきました。最後にその内容がよりしっかり伝わるための3つのテクニックをご紹介します。

あえて解説しない。生徒それぞれに勉強するとどうなるのか、を感じ取らせる

伝え方で注意したいのは、先輩事例など、生徒に伝えたい情報をはりきって読み聞かせたり補足したりしないことです。なぜなら、話者がいる時点で、「説得されている」という印象を与えるためです。紙面で渡し、情報を生徒自身が読み、各々が自分との違いや危機感などを感じ取るべきです。

形容詞や理論だけの説明は△。事実は数字や写真を使って伝えるべし

上述した部分と被りますが、内容についてはできるだけ数字を出してください。教育論や指導に対する熱い思いを訴えているホームページを見かけますが、具体的な数字が欠如していることが多いと感じます。数字がないと受け取り方もまちまちになりがちで、強く印象に残らない可能性が高いです。

例えば、先輩事例の中で「たくさん勉強しました」と書かれていても、2時間なのか10時間なのかわかりません。具体的に何時間勉強したのか、さらにそこに使った参考書や先輩の写真を添えたり、メッセージを掲載したりするだけで説得力が増します。

写真で伝える

写真を用いて報告する方法は、塾通信でも個別連絡でも有効的に使えます。生徒が真剣に授業を受けている姿、高校で実際に使う教科書の厚みを中学生と比べて撮影する等、言葉ではなく写真から伝えることも多いはずです。