~コロナ危機の中の学習塾~ vol.2 塾の授業がオンライン化するだけでは代替できなかったもの

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「授業」以外の価値を代替する必要性

 学習塾は、教室での授業の替わりにオンライン授業を実施するところが増えてきますが、学校休校の問題はオンライン授業だけでは解決できないことがあきらかになってきます。二つの問題を解決できなかったのです。

 一つは、学校に行かなくてよくなったことで起こる生活の乱れです。子供達が、朝起きてこなくなったのです。子供達を朝起こす必要がありました。 

 もう一つの問題は、学校の授業時間の減少です。一教科あたり学校の授業時間の3分の1くらいしかない塾での授業時間だけでは、指導時間は足りません。学習塾は、当然のことですが、学校の授業を前提に存在しているのです。クラス指導の塾であれば、学校の授業の予習をしています。個別指導であれば、学校の予習又は復習をしています。中学受験や大学受験などの受験指導を除けば、学校のサポートをしているわけで、その学校の授業が無ければ、塾の授業は成り立たないのです。 

 この二つの問題を解消するために考え出されたのがオンラインスクールです。高校生、特に私立高校生は、学校がオンライン授業をやっていたのであまり問題は起きませんでしたが、その他の高校生や小学生、中学生は、二つの課題を学習塾が解決するしかありませんでした。特に、個別指導の塾で多かったのですが、イーボードや学びエイド、モノグサ、標準新演習・スタンダード新演習のレクチャームービーなど、無料あるいは安価な映像教材やICT教材を使って、朝から動画を配信し、オンラインで視聴をさせたのです。この他にも、オンライン自習室で学習進捗の管理をしたり、オンラインのホームルームを実施したりして、学校の補完を行ったのです。 

 クラス指導で、クラス指導の先生達が作成した授業動画を朝から視聴させ、昼からオンライン自習室やオンラインホームルームで宿題を出し、学習進捗管理をした塾も有りました。これは、生徒全員が朝から、必修で動画を視聴するのですから、オンラインスクールと同等以上の効果がありました。個別指導のオンラインスクールは、必修ではありませんから参加率が5割から7割くらいでしたが、クラス指導の動画は授業ですから、100%参加します。普通のやり方だと、動画だけではクレームが出ますが、朝からやるということと双方向でのオンラインホームルームがあり、学習進捗管理を一人ひとりやってもらうことができるため、非常に好評でした。 

 総じて、オンラインスクールを実施した塾は、退塾者も少なく、保護者の満足度は、通常の時期以上に高くなりました。 

全国の塾の授業状況

 一方、オンラインスクールに対応できたのはやはり大手塾が多かったのも事実です。全国学習塾協会が、学校休校期間中、学習塾が教室で授業を行っているか否かのアンケートをしましたが、3月、4月、5月とも50%強の塾が教室での授業を続けていました。全国学習塾協会に加盟している塾の数で言うと圧倒的に小規模塾が多いので、オンライン授業を行うことができずに、やむなく教室での授業を続けているところも多かったと思います。 

 地方では、感染者も少ないために教室での授業を続けた地域もあります。例えば、山梨県の最大手塾が教室での授業を続けたために、山梨県内の塾の大半が、教室での授業を続けました。この塾は5月になって2週間ほど教室での授業を止めますが、それに気づいたころには緊急事態宣言解除が発表されますので、他の塾は教室を閉じることは有りませんでした。 

 アンケートは、教室で授業をしているか否かと言う二者択一だったので、一部の生徒にオンライン授業をやっていても教室で授業をしている塾と言う判断になります。さまざまな理由で、教室で授業を行う塾が50%強になっていたのです。  

 しかし、大手塾の大半がオンライン授業に移行しました。3月は振替対応をした塾も多かったのですが、4月・5月は、ほとんどの大手塾がオンライン授業をやっていたというようなアンケート結果となっています。


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