学習塾運営の基本に戻る内容で今回はお伝えしたいと思います。
監修いただいた先生
集客以前に、塾の中身が大事
やっぱり塾って、中身ありきだと思うんです。ナントカ集客術とか、ナントカマーケティングといった技術でも塾生を集めることはできますが、それは一過性のもの。その手法が陳腐化されれば、また新しいノウハウに頼るしかなく、いわば表面を取り繕い続けるだけの自転車操業です。やはり、「塾として質が高い」という、当たり前で中心となる太い幹があってこそ、枝葉となるビジネステクニックも活きてくるものだと思います。
もちろん、新規立ち上げの時などは、まずは自塾の存在を知ってもらうためにチラシを折り込んだり、校門前配布をしたりといった広報活動は必要です。開校してからも、常に知ってもらうための宣伝をするのも大切です。
ただ、繰り返しになりますが、広告ってバランスがとても大事で、中身がないのに宣伝に力を入れても、退塾がどんどん出るだけ。
「チラシではいい塾だと思ったけど、入ってみたらそうでもなかった」と、悪い評判がどんどん広まります。
問題は、そういう悪評が定着してしまうと、広告さえも逆効果になってしまう場合があるということです。
広告すればするほど、「ああ、あの評判の悪い塾ね~」「生徒集めに必死ね」「相変わらず、チラシで良く見せるのだけは上手ね」と、ますます問い合わせがなくなります。もうこうなると、最悪のスパイラルです。
私は、自塾を運営しながらコンサルティングもさせていただいているので、色々な塾さんから相談を受けますが、その半分以上が結局は「生徒が集まらない」「チラシの反応がない」といった内容です。
全員がそうではありませんが、こういった方々のほとんどが、新しい塾生を確保することにばかり執着し、今いる生徒さんや保護者さんのことを全く見ていないケースです。釣った魚に餌はやらないというと言いすぎですが、入塾してくれた時点でミッションコンプリートだと思っているフシがあります。
ですから、私がこうした相談を受けたときにまず尋ねるのは「年間の退会数は何名ですか」という質問です。仮に、「生徒数が20~30名で、退会者は月1名程度です」なんて答えが返ってくるようであれば、心を鬼にして強めにまずこうお伝えします。
「チラシ云々より、生徒がやめない仕組みを作りましょう。」
反応をよくするためにチラシにいいことばかり書いて、実際の中身が伴ってないのであれば、はっきり言ってそれは詐欺です。
そう言われると、カチンとくる方も多いと思いますし、私も心苦しい気持ちもあります。
しかし、そうした指摘を客観的かつ謙虚に受け止め、中身を改善できない・するつもりがないのであれば、塾をやってはいけないと思います。チラシに騙されて入塾してしまった生徒さんや保護者さんを不幸にするだけです。私個人は、そんな人を食い物にするような塾は潰れてしまったほうがマシだと思います。
ずいぶんと毒を吐いてしまいましたが、こうした意識の部分はスタートラインであり、ここを掛け違えると、その後に何をやっても表面的な対策しかできなくなります。もし「ドキッ!」とした方がおられたら、ぜひ意識なさってみてください。
退塾・退会数の目安となる”退会係数”
さて、退塾・退会数の目安ですが、私なりのシンプルな計算法があります。
昨年度のMAX生徒数と年間退会数(非受験生)は分かりますよね?
この「年間退会数÷MAX生徒数」から出てきた数値が、退会係数です。弊塾の場合、弊塾であればMAX時が80名、年間の退会数が3名でしたので、3÷80=0.0375です。
仮に同じ生徒数80名で退会数が8名だったら、退会係数は8÷80=0.1。退会数が12名だったら、12÷80=0.15となります。
それを前提に、私が基準としている目安は以下の通りです。
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退会係数
①~0.05 …内部充実がきちんと出来ている塾
②0.05~0.1 …内部充実がまあまあな塾
③0.1~0.15 …内部充実が甘い塾
④0.15以上 …内部充実ができてない塾
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一度、あなたの教室の退会係数を算出してみてください。
ちなみに集客がらみのご相談に来られる塾さんのほとんどが、退会係数0.15以上です。
やはり、生徒数を増やしたいと思うのであれば、まず生徒さんが辞めない教室作りを始めてみましょう。
成績アップするためにどうすればいいか、生徒さんが通いやすい塾にするためにはどうすれば良いか、保護者さんに満足してもらえるように私たちがどう接していくか。やり方は色々あるはずです。何度も何度も掘り下げ、突き詰めていけば、退会は必ず減ります。これを続けることで、塾の評判が良くなり、紹介の問い合わせも増えるはずです。
この状態でチラシを入れれば「あっ、あの評判のいい塾だ」ということで、チラシのレスポンスも飛躍的にアップします。
「退会が3名出たら、入会を3名増やせばプラマイゼロ」という発想は今すぐ捨ててください。それはプラマイゼロではありません。明らかにマイナスなのです。
集客とは「お客を集めるのではなく、お客が集まる」ことだと思います。人が集まってくれる中身を作らない限り、あなたの塾の未来はありませんよ。一緒に頑張って内部充実を高めていきましょう!