あなたの塾のサイトは大丈夫? WEBサイトの構築・運用において重要な視点とは

新聞の購読が減少し、スマートフォンが情報を得るツールとして欠かせない存在になっている昨今、塾の認知を上げるためにはオンライン対策=WEBサイト構築や工夫、発信力の強化が急務です。WEBサイトは具体的にどのような視点を持って構築・運用すれば良いのでしょうか。自塾のWEBサイトと照らし合わせながら確認してみましょう。

監修いただいた先生



顧客から「どう見られたいか」を考えていますか?

WEBサイトは自塾を宣伝する重要な広告ツールです。しかし、単にWEBサイトが存在しているだけではあまり意味がありません。塾のWEBサイトは、新規顧客だけでなく既存顧客の満足度向上につなげる役割も担います。そのため、キャンペーン情報といった一過性の情報だけではなく、自塾の信頼性や透明性を高める情報を発信し続けることが大切です。 

まず、最低限準備しておきたいコンテンツは下記のようなものです。

①基本情報
・時間割/コース設定
・料金表
・アクセス
・問い合わせフォームなど

②啓蒙情報
・理念(塾長紹介)
・合格実績
・合格体験談

以上のようコンテンツがなぜ必要なのか、具体的に何をどのように構築すれば良いか、そしてその効果をご紹介します。

新規顧客の獲得に貢献する「基本情報の発信」

・時間割/コース設定(昨年の夏期講習会の時間割例など年間がイメージできる様にも工夫してみる)
・料金表(年間総額を出せればベスト)
・問い合わせフォーム
・アクセスなど

以上のような基本情報は、新規顧客の獲得に貢献するものです。買い物をする際に、商品の内容や値段を確認するのは当たり前のことです。塾の商品となる授業は「どういった形式でいくらなのか。」サイトに掲載しておきましょう。基本情報を掲載しておくことで、入塾面談時の説明時間も短縮できます。

特に重要なのは料金表です。入塾前に年間総額を把握できれば、ご家庭での今後の支払いの心づもりや準備ができるとともに、単価感で合わない新規顧客の問い合わせを未然に防ぐことにも繋がります。特に負担になりやすい講習や受験前の特別講座の料金も事前に伝えておくことで、金銭面で受講を断られることを防ぐ狙いがあります。高等部の金額を出しておくことで、中3→高1への継続率UPにも貢献します。

年間総額の授業料を掲載している塾は少なく、「入塾面談までいって初めて料金がわかる。」「講習料金は、講習前に初めて案内される。」といった塾さんがまだ多いように感じます。サイトに掲載した上で、面談時に「ぜひ、他塾と比較検討をしてくださいね」とお伝えすれば、保護者への自塾の誠実な姿勢を訴求することにもつながります。

そして、重要にもかかわらず見落とされがちなのが問い合わせフォームです。このフォームが非常に長く使いづらいために保護者の方が入力を途中で諦めてしまったり、せっかく入力してもらってもなかなか電話やメールがつながらずその間に他塾に決まっていたりと機会損失を起こしてしまっていそうな例をよく見ます。ComiruFREE(無料)の「web申し込み機能」を使えば簡略化したフォームがボタン1つで設置できる上に、そのフォーム内で体験授業の日程調整ができたり、問い合わせをしてくれた方の一元管理がComiru上でできたりと業務効率化はもちろん機会損失を防ぐ意味でも大変便利です。無料で使えるのでぜひご利用いただきたいです。

新規塾生と自塾のマッチングや、既存塾生のモチベーションを維持する「啓蒙情報」

・理念(理念の具体的な事象の紹介、さらに塾長紹介など)
・合格実績(合格者数だけでなく、合格者へのインタビューなども)
・合格体験談(様々な経歴をたどった生徒を複数)

以上のような情報は、新規塾生に加えて、既存塾生のモチベーションアップにも寄与します。

特に大事なのは理念です。自塾の考えや文化を理解してもらうことで、入塾時のギャップの解消や、入塾後の不満解消につながります。例えば、「自立自主、依存しない生徒を育てたい」という理念のもと、定期テスト対策の必要がない授業をすると決めたとします。そうすれば、定期テスト対策を重視する生徒・保護者は塾の理念とはそぐわないことを事前に伝えることができ、、互いのミスマッチを防ぐことができます。

合格実績は単に記載するだけでなく、伝えたい理念に合わせて、情報を組み合わせて掲載していくことがポイントです。「諦めない心を育てたい」という理念であれば、「高校受験はうまくいかなくても、大学受験で第一志望に合格できる力を身につけられる」といった、長期的に育てていく姿勢を伝えられるでしょう。その実例として、「中学入試全敗、高校入試全敗、だけど大学は第一志望に合格」。という体験談とともに打ち出してあれば、「途中の入試はうまくいかなくても、高3まで諦めずに通えば最終目的にたどり着けるような指導をしてくれる」という印象を与えられます。通塾年数の長さを強みとする場合、合格大学別に平均通塾年数を表示させることも効果的です。

また、体験談は可能であれば卒業生に名前と顔を公開してもらう承諾を得ましょう。イニシャルだけの体験談では信ぴょう性が薄くなります。イニシャルであっても、その体験談に「入塾学年・在籍クラブ」「何に・どのくらい・どう頑張ってきたか」というコメントが添えられていれば、体験談の信頼度はぐっと高まります。そして、名前や顔写真の露出は、塾と卒業生との信頼関係が大前提。さらに「どういう使い方をするかの説明」と承諾は必須です。顔や名前をどうしても露出でない場合は、卒業生の手描きコメントを添えておくと良いでしょう。

合格実績を掲載する際に、残念ながら全員が第一志望校に合格するわけではない、ということも心に留めておく必要があります。自塾の方針に合わせて合格者紹介の後に、「思うようにいかなかったみんなへ。先生たちは、みんな合格したと考えている。みんなの努力を先生たちは一番近くで見てきたのだから!」など、個々の生徒の努力をたたえるなど、記載内容を検討してみてください。

啓蒙には画像や動画を使って、継続的な発信を

啓蒙情報は、前述のように新規塾生はもちろん、既存塾生のモチベーションアップにも有効です。そのため、動画サイトやSNSを活用して継続的に情報を発信することが大切です。

<発信例>
●ブログ/SNS
・勉強に打ち込んでいる生徒の後ろ姿の写真
・勉強を頑張っている生徒のノートの写真
・生徒が部活動を両立し入賞した情報
・卒業生と集合写真を撮っている風景(卒塾後も生徒が訪ねてくる塾である)
・定期テストの結果(高得点者のみでなく、点数アップや、正答率が低かった問題に正解した生徒の紹介など)
・入試分析など

イベントや特別講習などの案内のほか、日常のひとこまを「見える様に」露出することで塾の透明性を高められます。

内容によっては動画での発信も効果的です。

●動画
・授業風景のダイジェスト動画
・卒業生からのメッセージで、合格のその先を見せる
・受験ガイダンスの様子

実際の授業風景や卒業生の姿など、動画で伝えることでより透明性が増します。

どこの塾でもやっている「無料体験授業」を実施しなくても、「入塾したい!」と思ってもらえる可能性があります。

また受験ガイダンスなど、長い内容を保護者に見てもらいたい場合、動画にすることで塾から何度も説明の手間が省けるとともに、繰り返し確認できるので、保護者の理解も促進できます。

そして、既存塾生にそのような情報をみてもらうことはモチベーションアップにつながります。自分の勉強している姿や定期テストの点数がブログ等で紹介されたら嬉しいですし、紹介されるように頑張ろうと思いますよね。また先輩が活躍する情報をみて「いつか自分も」とやる気を出す生徒も多いと思います。

※顔の映り込み等には細心の注意や承諾が必要です

自塾のサイトを「見つけてもらえる工夫」をしていますか?

自塾の理念が詰まったWEBサイトの構築と同時に、「サイトにどうやってたどり着いてもらうか」も考えておきましょう。例えば、地名+塾名での検索にヒットするような、SEO対策です。入試対策、平均点、偏差値、夏季講習などといった、訴求したい時期に合ったテーマやワードを使ってブログを書き、更新をしてくことで、SEOにプラスに働く側面もあります。

また、YouTubeをはじめ、Facebook、Twitter、Instagramなど、自社サイト以外での情報発信を行うことで、さまざまな経路からの流入を見込むことができます。

そして、Googleマイビジネスにも登録しましょう(MEO対策)。Googleマップから自塾を検索できるようになり、近隣にお住まいの方の目に留めてもらう確率が上がります。口コミも掲載されるため、質の高い授業を行いつつ、口コミの収集も強化していきましょう。自らほんの少し手間をかければ無料で可能です。

「理念」をベースにサイトを組み立てていきましょう!

新規顧客を「刈り取る」ためのWEBサイトでは意味がありません。目先の新規顧客にとらわれ過ぎると入会金キャンペーンなどスーパーのチラシのようなサイトが出来上がり兼ねません。自塾の理念を伝え、既存顧客の満足度を上げる取り組みをサイトでも行うことで、それが結果良い口コミに繋がり、新規顧客に信頼感を与える材料になることを忘れないよう意識しましょう。そして理念をスローガンの様な「言葉のみ・文章のみ」に終始させず【目に見える事実】で伝えるのが重要です。

様々な塾のWEBサイトを見ることも大変勉強になります。幼小中高生、保護者の感覚でご覧になってください。

WEBサイトを見直すことは「自塾がどうありたいか。何を大事にしているのか。」を改めて考えてみる良い機会です。論に食傷気味な現代。論より見える化が重要な気がします。