保護者の心をつかむ!保護者面談の極意(後編) ーー保護者の心をつかむケース別対応法!

保護者面談のゴールは直近の目標設定への合意。前編では元大手塾経営者である経営アドバイザー大澤一通先生に、事前準備や保護者のタイプごとの対応例などを伺いました。後編では、面談で保護者の心をつかむケーススタディを学びます。

監修いただいた先生

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保護者面談は、保護者からの信頼感を得られる絶好のチャンスです。前編では、限られた時間にいかに効率よくコミュニケーションをとるか、保護者面接成功のポイントを伺いました。後編では保護者の心をどうやってつかむのか、ケース別に学びます。

保護者との会話のキャッチボールを心がける

———前編では保護者面談のあり方、効果的な事前準備について学びました。ここからは、さらに具体的な方法を教えていただきたいと思います。

まずは前編でお話ししたように、普段のコミュニケーションが何よりも大事です。

さらに、ここで重要になるのがコミュニケーション方法です。まず電話をとりいれてる方がどれだけいらっしゃるかわかりませんが、特に若い世代の保護者にとって電話はあまりおすすめしません。また、メールも、相手が読んだかどうかわからないためあまり有効ではありません。送る方も送られる方も、オフィシャル感があって重くとらえてしまいます。

Comiruのような、気軽に会話のキャッチボールができるようなツールで、既読未読もわかるものがおすすめです。

ちなみに、Comiruが行ったWebアンケートでは、「塾からの主な連絡方法」の1位が「プリントや手紙(56.5%)」(※1)でした。
一方で保護者が塾に求める連絡手段は「LINEや専用アプリでの連絡」が最も多く、保護者の希望と塾の実態は乖離が起きているのが現状です。(※2)

次世代を担う子どもたちを教育する立場として、やはり時代に合わせたコミュニケーションツールは必須ではないでしょうか。

 

内容については、その日の学習内容を共有するだけでなく、生徒の様子、理解の度合いなど、できる限り個別の情報を共有しましょう。かたいトーンで送るよりも、若干カジュアルなほうが気軽に返信も返しやすいため良いですね。その繰り返しが、保護者面談を格段にスムーズにします。

入試トレンドや時事ネタで保護者の心をつかむ

———保護者面談でのアイスブレイクにはどんな話題がいいですか?

中学受験や高校受験が目的であっても、たとえばその先の大学入試問題や入社試験問題の分析からトレンドを読み取り、指導や学習の仕方の話につなげるということはよくあります。保護者会で盛り上がるネタの一つです。

一つ例をあげましょう。2014年の愛知医科大学の入試問題で、「恋人にお別れの手紙を書いてください」という小論文の問題が出題されました。「保護者のみなさんならどんな手紙を書きますか?」と質問し、いろいろな意見が出て盛り上がりました。

しかし、その場を盛り上げるだけで終わってはいけません。大切なのはこの問題の意図を読み取ることです。そこから、学校や社会が子どもたちにどんな能力を求めているのかを知り、指導や学習に生かすのです。そこまでの建設的な話ができれば、確実に保護者の心をつかむことができますよ。

———最近の保護者は情報感度が高いので、そのような時事ネタは有効ですね。保護者自身も受験経験があったり、“プロ目線”の人も少なくありません。気後れしてしまう先生もいるかもしれません。

いくら情報通だと言っても、最新情報を知っているわけではないという印象ですね。他塾の情報には詳しいかもしれませんが(笑)

「学習指導要領が変わってこうなる」とか、「今年の入試問題傾向」など、塾が提供できる情報はたくさんあります。上のお子さんがいたりすると確かに詳しいことはありますが、保護者の方が正確な情報を把握されているとは限りません。最新の受験情報や学校情報などに常にアンテナを張っておくことが重要です。

また、保護者からのコミュニケーションは、いくつかのケースに分類できると思います。ここからはケース別にコミュニケーションのコツをご紹介します。

<矢継ぎ早に質問をしてくるケース> 

保護者の立場から言えば、面談というまたとない機会に、聞きたいことが山ほどあります。準備のいい保護者は、質問をまとめてくることもあります。塾は保護者の質問にその場で即答できなくても大丈夫です。わかったようなことを言って間違える方が問題です。地元の学校情報は答えられるにしても、全国になるとそんなの無理ですよね。

資料やデータはいくらでも持ち込んでいいですし、パソコンを持ち込んで、保護者の前で一緒に調べてもいいと思います。保護者の目の前で調べることは、調べ方を学んでもらうことにもなります。

保護者の質問に数字や事実で答えるよりも大切なことは、その質問が出た背景を知り、ニーズを掘り下げることです。なぜその学校の情報が知りたいのかということに話の焦点を合わせ、未来の話につなげましょう

<成績不振を訴えるケース>

期待して預けていただいたのに、それに応えられていない。まずはそのことをお詫びするべきです。自宅での学習不足など、生徒・保護者のせいにするのは絶対にだめです。なぜ成績が伸びないのか要因分析をした上で、次に向けた具体的な行動を提示できるようにしてください。

それには前編で述べたような「面談までの事前準備」が不可欠です。今後の対策について、生徒とのコンセンサスも忘れないようにしてください。

<講師への不満・講師を変えて欲しいケース>

まず大前提として、保護者から講師への不満を言われる状態は致命的です。保護者から言われた時点ですでに手遅れという認識をしておいたほうがいいくらいです。

塾のスタッフは全員、塾にいる時の様子や帰るときの表情を見て、生徒の悩み、変化に事前に察知しておかなければなりません。そのために定期的に満足度アンケートを取るのもいいでしょう。

その大前提は抑えた上で、保護者から講師への不満、具体的なトラブルなどを聞いた場合は、確認に時間をもらいましょう。保護者の言い分を鵜呑みにすることもよくありません。生徒本人と講師、別々に話を聞き、事実を把握します。意外と多いのは、生徒が甘えているケースです。子どもですから、自分のことを許してくれる、優しい先生に習いたいものです。「あの先生は厳しすぎる」「課題が多すぎる」という不満はよくあります。誰のために厳しく指導しているのか、という話をして、生徒側の認識を変えなければいけないこともあるでしょう。

<塾にお任せケース>

保護者の中には、塾とのコミュニケーションに消極的な人もいます。面談に来ない保護者もいます。でも、子どもの成績に無関心ということはないでしょう。このようなケースは、入塾面談の時点からパートナーシップがうまく形成されていなかったのだと思います。とは言え、相手を変えることは難しいので、自分がコントロールできることを変えるしかありません。

有効なコミュニケーションは、保護者の苦労に共感することです。「お母さんも大変ですよね」とねぎらいの言葉をかけるだけで、距離感が縮まるかもしれません。なぜ消極的なのか、その理由を探り、改善につなげなければなりません。

もしくは、本当に話すのが苦手という保護者もいます。これはちょっとしんどいんですけどね(笑)でも仕方ないです。子どもをとにかく褒めてください。どんなことでも、「スリッパの揃え方が抜群!」とか(笑)。ちょっとでも笑顔になってくれれば良しとします。

———いろいろなケースがありますね。何れにしても、事前にコミュニケーションができていれば、面談当日は未来の話がたくさんできるということですね。

そうです。面談のゴールは直近の目標設定への合意です。過去は変えられないので、未来の話をしてください。そのために、日頃のコミュニケーションを密にしてください。

一昔前は、手紙や電話のやりとりをしていましたが、今は便利なツールがたくさんあります。保護者にとっても、些細なこと、ちょっとした不安を相談しやすい環境を作っておけば、面談で突然不満をぶつけるなんてことにはならないでしょう。面談開始早々「ご無沙汰しています」なんて、言っても言われてもいけません(笑)

また、保護者面談はロープレ(ロールプレイング)が大事です。あらゆるケースに対応できるように、いろいろな保護者のタイプを想定しておこなってください。