保護者からのクレームはなくせる!クレームにならないコミュニケーションのコツ

保護者からのクレームは、退会につながりかねないアラートとも言えます。そのため、クレーム対応のノウハウを身につけたいという塾経営者の皆さんも多いかもしれません。しかし、その前に大切なのはクレームを生まないということ。 実は、今のオンライン学習支援、以前の個別指導塾、どちらでもミスコミュニケーションはあったものの大きなクレームにつながったことはありません。それは大手塾勤務時に経験したクレーム対応を生かして、クレームにならないコミュニケーションを心がけているからです。クレームが発生する理由、クレームの芽に気づき、早めに摘むノウハウを解説します。

監修いただいた先生


そもそもクレームはなぜ起こるのか

まず、保護者からのクレームはなぜ起こるのか考えてみましょう。要因は「コミュニケーション不足」と「小さな不満が溜まり続けた結果」の2つだと考えています。それぞれ詳しくお話しします。

コミュニケーションがうまくいかない理由は「削除」「歪曲」「一般化」

人は受け取りたいように情報を受け取るものです。ちょっと専門的な話になりますが、ミスコミュニケーションは「削除」「歪曲」「一般化」のどれかによって起こります。

ミスコミュニケーションのきっかけ「削除」「歪曲」「一般化」

削除
 事実や具体的な内容を削除して自分の都合のいいように解釈する。
 「成績が落ちたのは指導が十分ではないのでは…?」
「テスト対策だけやっていて受験対策をしてくれていない。」   
歪曲    憶測を事実のように解釈する。
「きっとだめだろう」
「この塾は実績が出せないだろう」
  一般化  すべてそうであると決めつける。 「この先生はわかりにくいとみんな言っている」

 

「削除」「歪曲」「一般化」があったとしても、回数多くコミュニケーションが取れていれば、誤解をとくタイミングもあるはずです。しかし、忙しさを理由に2週間に1回や、1ヶ月に1回といったペースでは、それもできなくなるでしょう。

これらのミスコミュニケーションは起こりうるもののだと認識し、未然に防いでいきましょう。クレーム対応能力を身につけるよりは、コミュニケーションの最適化を目指した方が効率的だということです。 

怒りのポイントカードを溜めさせない

クレームをもらうということは往々にして「小さな不満が溜まり続けた結果」です。怒りのポイントカードのようなものがあって、少しずつ溜まってコンプリートすると一気に爆発するみたいな…(笑)。

とはいえ、保護者から塾へちょっとした質問や相談ってなかなかしづらいものです。こんなこと聞いていいのか…電話かメールどちらがいいのか…。そうこうしているうちに、保護者の中では不安が不満となって積み重なり、最終的に怒りに変わります。気軽なコミュニケーションの仕組みがなければ、怒りポイントを減らすタイミングがありません。 

クレームを防ぐコミュニケーションのルール

怒りのポイントカードを溜めさせないために、そしてミスコミュニケーションを防ぐためには、クレームになる前の不安・不満を回収することです。具体的には次の3つを心がけてください。 

1 コミュニケーションは頻度が重要

個別指導の場合、生徒ごとにきめ細かなコミュニケーションが必要です。紙でのお便りでは一方通行になりがちですし、毎授業終わった後に電話報告も現実的ではありません。その点、Comiruは便利です。指導内容や生徒の様子、出した課題など、授業が終わったらぱっと送れます。LINEのような感覚に近く、保護者も疑問に思ったことはすぐに返信できるので、モヤモヤを溜め込むことはありません。 

2 伝えた内容は必ず文字にする

「言った言わない」の行き違いでクレームになることもあります。トラブルを防ぐためにも、必ずコミュニケーションは文字で残しましょう。対面や電話で話したことも、必ず文字にしてリマインドを送ります。この場合も、重くなりがちなメールよりもComiruのようなツールは便利ですね。話し終えたらすぐに送信するくらいの迅速さも大切です。

3 時間割や振替連絡漏れははツールで防ぐ

ミスは誰にでもあるもの。塾でありがちなのは、日程変更や振替の対応もれや遅れです。大体のことはツールの活用で防げます。例えばComiruの場合、座席管理機能が便利ですね。予定表でやるべきことが見える化でき、欠席の振替対応なども簡単に一元管理できるため漏れを防げます。

これがあったら要注意。クレーム防止に日頃から気をつけたいポイント

コミュニケーションの頻度を上げることで、保護者から不安や不満を返信という形でもらうことができます。ただ、不安や不満をもらう前に、塾から保護者にアプローチすることも必要です。それは日ごろのコミュニケーションの中にヒントがあります。

生徒の授業態度が後ろ向きになった

生徒の授業態度が後ろ向きになったり、やる気を失ったりするように感じた際は、保護者からのクレームが起きるかもしれないサイン。家庭でも勉強に消極的な態度を見せる可能性も高く、成績も下がりがちだからです。そのような異変は、生徒の様子からすぐに気づけるようにしましょう。

塾がどれだけ生徒に働きかけても、生徒本人にやる気がなければ前進はありません。そういったケースでは、一つ前の段階から掘り下げ、勉強する目的を見つけるところから話をする必要があるでしょう。勉強が自分の人生になぜ必要か、本人がわかっていないのに、周りが勉強しなさいと言ったところでがんばることなんてできません。

ネガティブな言動が多い保護者

前の内容とつながりますが、生徒がやる気をなくしている原因が保護者であるケースも散見されます。「うちの子はできない」など、ネガティブな言葉を使ってしまう保護者は要注意です。30点から50点になった時、50点しか取れないと思ってしまう。でも、20点上がったことを認めてあげるべきなのです。

普段のちょっとしたコミュニケーションで、相手のスタンスは見えてきます。ネガティブな言動が多い保護者は、クレーム予備軍になる可能性を見据えて「お子さん、苦手教科でもがんばってここまで伸びていますよ」など、塾から先に生徒のできるようになったことを伝える工夫が必要です。そこから徐々に、保護者の中の意識を変えられるようなメッセージを続けてください。 

塾からの連絡に反応が無い保護者

反応がない保護者もクレームや退塾のリスクを抱えていると注意すべきです。反応がないのは、疑問が解消されたのではなく気持ちが離れている場合があります。塾からの連絡は保護者に見てもらえているでしょうか。Comiruならメッセージの未既読が確認できるので、保護者の変化に気づくことができるでしょう。

クレーム対応で消耗しないために、クレームの芽を見極め、適切に対処することは塾の運営には重要なことです。しかし、わたしがぜひお伝えしたいのは、「塾の方針と保護者の方針が合わないケースに消耗しすぎない」ということです。方針が異なれば、どれだけ丁寧な対応をしても話が平行線になることは残念ながらあります。芽を摘むことで改善できるケースか、そもそも方針が異なり歩み寄りは期待できないケースなのかを見極め、クレーム対応に消耗しすぎないようにしてほしいと思います。