
コミマグ編集部が、全国各地の塾経営者の塾づくりへの思いや取り組みを聞く「学び紀行」。今回は東京都練馬区のインターナショナルスクール「トゥインクルスターインターナショナルスクール」の校長・竹山誠二氏にお話を伺いました。 2002年に開校したトゥインクルスターインターナショナルスクールは、英語のプリスクールやキンダーガーデンプログラム、アフタヌーンプログラムなどを展開するスクールです。子どもたちがワクワクする環境の中で、先生や友達との関係を築きながら、本物の体験に触れる。その積み重ねを通して、英語や国際的な視野を自然に身につけていってほしい——そんな思いに基づいた運営を大切にしてきました。 当時まだ一般的でなかった形態のスクールをなぜ始めたのか。どのような理念やビジョンをもとに形づくってきたのか。そして、創業1年目から支持され続けてきた理由とは何か。竹山氏に、その歩みと根底にある思いをお話いただきました。
▼教室紹介
2002年開校。東京都練馬区にてインターナショナルスクールを展開。英語プリスクール、キンダーガーデン、学童としては老舗にあたる業界のオピニオンリーダーとして、子どもたちがワクワクしながら、本物の体験を通して英語や国際的で広い視野を身につけるプログラムを実践している。
Twinkle Star International School
東京都練馬区豊玉北4-29-11
https://www.twinkle-star.info/
▼竹山誠二さまご紹介
総合商社勤務後、妻と共にTwinkle Star International Schoolを立ち上げる。商社勤務時代には、ニュージーランド駐在も経験。創業以来、時代の変化や教育ニーズを見据えながら、プリスクールからキンダーガーデン、アフタヌーンプログラム、ICTプログラムと多様なプログラムを開発している。
娘のために「こういうスクールがあったら」からスタート

開校のきっかけは、妻が持ってきた企画書でした。英会話教師をしていた妻は、娘が1歳になったことを機に、英語のプリスクールに関心を持ち、いくつものスクールを見学していたんです。ただ、2000年頃はまだプリスクール自体が少なく、あったとしても思うようなプログラムではない。「ここだ」と思える場所になかなか出会えなかったようで、それなら、自分でつくってみようと思ったようです。
私は当時、総合商社に勤務していて、ニュージーランド駐在も経験していました。英語は仕事で使っていましたが、もともとは理系。英語が得意だったわけでもなければ、教育業界の経験があったわけでもありません。
退路を断って挑んだ、1年目
最初は商社に勤めながら立ち上げ、軌道に乗ったら独立するつもりでした。でも、それでは中途半端になると感じたんです。
「1年やってダメなら戻ればいい。でも、中途半端なことはしない」
そう腹をくくり、退路を断ちました。根底にあったのは、「Give it a try」の精神でまずは挑戦してみるということ。それは、今も変わっていません。
とはいえ、勢いだけではありません。損益分岐点はきちんと計算し、1年以内に達成すべき2〜3段階の目標を設定しました。達成できなければ見切りをつける。シビアな覚悟を持ってスタートしました。
8月のサマースクールから始め、口コミで少しずつ広がっていきました。11月から12月には、定員に達するクラスも出てきたんです。創業1年目から損益分岐を大きく超えることができました。
自分たちの望むスクールを描いていたためか「こんなスクールを待っていました」と言っていただけたことが、何よりの手応えでした。
何でも自分たちでやった熱狂の創業期

最初の教室は、練馬駅前のビルの3階でした。
創業時のメンバーは、本当に熱量が高かったですね。教室づくりも、カリキュラムも、保護者対応も、掃除も、ビラ配りも、ホームページも、全部自分たちでやりました。1人4役、5役は当たり前。とにかく必死でしたね。
創業期に大事なのは、できるだけ早く損益分岐点に到達することだと考えていました。そのためには固定費を抑え、自分たちで回せる体制をつくるしかない。ビラも自分で配りましたし、ホームページも友人に相談しながら自作しました。
手探りではありましたが、やみくもに進めていたわけではありません。「どんなスクールにしたいか」というビジョンは、最初から明確でした。
子どもたちがワクワクできる環境をつくること。
本物の体験に触れられる場であること。
その中で、内なる気持ちに火がつき、自分から学びたくなること。
そのビジョンがあったからこそ、創業当初から「こんなスクールを待っていました」と受け入れていただけたのだと思います。
ワクワクする環境が、子どもを動かす

子どもにとって英語は、正しく教えればそれだけで伸びるものではないと思っています。最終的に伸びるかどうかは、その子の内側から「やってみたい」という気持ちが湧くかどうかにかかっているんですよね。
だからこそ、まずは子どもたちがワクワクできることが大切なんです。
ここに来るとなんだか楽しい。
ちょっと変わった先生がいて面白い。
友達と普段できないようなことができて心が弾む。
また来たいな、と思える。
そういう感覚が起点となって、「英語って面白いな」「あの先生みたいになりたいな」「もっとやってみたいな」と思えたとき、自然と自分から取り組み始めます。そんな風に気持ちが動くことが何より一番大事だと思っています。
教えること以上に、気持ちが動く体験をつくること。それが、トゥインクルスターの根っこにある考え方です。
多様性が組織を強くする
子どもたちの内なるやる気を大切にしたいと思うなら、私たち自身も、多様な価値観を受け入れられる組織でなければならないと思っています。
プログラム運営には、もちろんマニュアルはあります。でも、マニュアル通りにやることだけが正解だとは考えていません。各教師の意見や工夫、やり方を大切にしています。
私は、意見を押し付けるのが好きではないんです。子どもたちに「広い視野を持ってほしい」と言いながら、私たち大人が一つの価値観だけで動いていてはおかしいですよね。
だから、教師やスタッフもそれぞれ違っていていい。長所は短所にもなるし、短所は見方を変えれば長所にもなると考えています。私に遠慮なく意見を言うスタッフもいますし、国籍もバックグラウンドも本当にさまざまです。でも、それが面白いんですよね。
では、どうやって組織としてまとまるのか。それは、一つの大きな目標を共有することです。
子どもをワクワク楽しませること。
本物の体験をさせてあげること。
内なるやる気に火をつけること。
この軸さえぶれなければ、違いはむしろ強みになります。
リスクより、本質を選ぶ

スクールでは、さまざまな行事やイベントを行っています。当然、賛否が出ることも少なくありません。
餅つきやポットラックランチであれば、「衛生面は大丈夫か」「リスクはないのか」といった懸念の声があがります。アウトドアのイベントでは、ケガのリスクを恐れる声も出ます。
もちろん必要な対策はしっかり行います。でも、想定されるリスクをすべて排除しようとしたら、何もできなくなってしまいます。
私は、リスクをゼロにすることよりも、子どもたちが心から楽しみ、思い出に残る経験をすることのほうが大切だと思っています。ケガをする可能性はゼロではない。でも、それを恐れて何もしないほうが、本当に子どものためになるのでしょうか。
過度にリスクを警戒するのではなく、できる対策をした上で、本質を選ぶ。本質とは、子どもが心を動かし、自らやってみたいと思える体験をすることです。リアルな本物体験だからこそ、記憶に残り、成長につながる。その考えを大切にする姿勢は、創業から変わっていません。
ワンチームで子どもを支える
トゥインクルスターでは、「ワンチーム」「ワンファミリー」という言葉を大切にしています。スクール、スタッフ、保護者が三位一体となって、子どもの成長を支えるという考え方です。顧客というより、同じ目標を共有する仲間です。
スタッフの間でも、この意識は共有されています。多様な価値観を持つメンバーが、それぞれの個性を生かしながら、子どもたちのために動く。完璧にそろえるのではなく、大きな目標でまとまる。それがトゥインクルスターのチームのかたちです。
保護者への情報共有も大切にしています。ボランティアで関わっていただける仕組みをつくったり、スクールの様子を写真でいつでも共有できるようにしたりすることで、「一緒に育てている」という感覚を持っていただけるようにしています。
不確実な時代だからこそ、ぶれない軸を持つ
20年以上続けていると、教育のトレンドが変わってきていることも実感します。今、何が伸びていて、何が落ちているのか。1〜2年先の流れであれば、ある程度は見えるようになりました。でも、これだけ変化の激しい社会においては、5年先、10年先は正直わかりません。
だからこそ、流行そのものを追いかけるのではなく、自分たちの軸を大事にしたいと思っています。ある事業が伸びる時期もあれば、別のプログラムが支えてくれる時期もあります。損益のバランスは見ますが、その都度、軸を変えることまではしません。
私たちの軸は、子どもがワクワクできること。本物の体験を通して、内側からやる気が湧く環境をつくることです。
今はワンストップ型の教育が流行っていますが、10年後もそれが正解かどうかはわかりません。必要な対応はしますが、流行に乗ることが目的になってしまわないように、常に意識しています。
また、無理な拡大も考えていません。自分たちの目が届く範囲で、責任を持てる範囲で続けていく。品質が下がるのであれば、やらない。
不確実な時代だからこそ、ぶれない軸を持つ。
それが、トゥインクルスターのこれまでも、そしてこれからも変わらない経営のスタンスです。
(編集後記)
創業期の熱量と、20年以上続く老舗インターナショナルスクールとしての歩み。英語教育や教育環境そのものは大きく変わってきましたが、竹山氏の語りからは柔軟でありながらもぶれない軸があることが伝わってきました。
流行や効率に振り回されず、本質を問い続ける。その姿勢こそが、支持され続ける理由なのかもしれません。
塾やスクールの形は一つではありません。「学び紀行」はこれからも、多様な学びの実践を届けていきます。















